バイデン政権でも米中対立は不変!日本のふるまい方を地政学で考える

「ボスの取り巻き」という立場の悲哀
ペドロ・バーニョス プロフィール

国際システムの反逆者たち

数は少ないが、前述の分類のいずれにも当てはまらない国家もある。そのなかには、支配者になるほどの力はないものの、どんな形でも支配されたくないためにあえてどちらの側にもならない国々もある。そういう国は既存の国際システムにとっては「反逆者」となる。

 

2015年2月6日に発表された米国の『国家安全保障戦略』〔訳注:歴代の米政権が安全保障政策を連邦議会に向けて説明するための公式文書〕では、それまで「反逆者」と形容されていた国々が「無責任」と呼ばれるようになった。今日ではこのカテゴリーに北朝鮮も含まれている。だが、学校の支配者グループから離れて過ごしたがる子どもと同じように、権力ゲームに参加することを拒んで独自の政治・社会システムを適用しようと考える国家が危機にさらされているのは間違いなく、そういった国は孤立無援で自国を存続させていかなければならない。

サウジアラビア、トルコ、エジプト、イランといった国々は、また別の少数派グループに属する。すでにそれぞれの地域のリーダー格であり、自国の経済発展と他者への影響力の行使は続けたいと望んでいるものの、曖昧な関係を保っている超強大国の感情を害さないために、いまよりグローバルな権力を持つことは賢明ではないと考える国々だ。もちろん彼らは、地政学的に従属する側のグループに追いやられるつもりもない。

米国の政治学者で大統領の顧問や補佐官を務めたズビグネフ・ブレジンスキーも同じような区分をしている。彼は地球上には「戦略的プレーヤー」と「地政学的回転軸」が存在するとした。前者には、国境を越えて権力や影響力を行使し、地政学的問題の現状を変えるための能力と国家的意図を持つ国々がある。「戦略的プレーヤー」はつねに力を持っている重要な国々だが、このような特徴を持つ国がすべて戦略的プレーヤーであるとは限らない。権力ゲームに参加するもしないも、支配者層の意思次第だからだ。一方、「地政学的回転軸」の国家としてはウクライナ、アゼルバイジャン、韓国、トルコ、イランなどが挙げられるが、地理的に重要な位置にあるおかげで、他国が自国の資源や特定の場所に接近しようとしても、それを制限することができるのである。(翻訳 金関あさ、村岡直子、神長倉未稀)

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