新型コロナウイルスの感染拡大で、さまざまな業種が苦境に立たされている。エンターテインメントの世界もご多分にもれず、なかでもクラシック業界は「リアル演奏」ができない中で苦境に立たされている。コンサートやライブだけではない。結婚式やパーティでの生演奏もクラシック業界での重要な仕事の一環だ。サブスクリプションもある程度稼ぐことのできるのはその名前でソロコンサートを開けるような演奏家に限られる。このままではクラシック業界の文化が弱まってしまう……そんな中、ひとりのフルート奏者の女性が現状を打破するために立ち上がった。

フルート奏者の増田景子さん(写真左)。演奏家の仲間たちと 写真提供/増田景子

アルバイトを始めた音楽家たち

都内を中心に活動している、フルート奏者の増田景子さんは、コロナ禍での音楽家の現状についてこう語る。

「昨年の3月から6月までは、コンサート・演奏会は軒並み中止となる壊滅的な状況でした。7月からは少しずつ再開されるようになりましたが、コロナ以前の状況には遠く及びません。
オーケストラに所属している団員はある程度の補償がありますが、日本の場合、欧米に比べるとフリーランスで活動している音楽家のほうが圧倒的に多いんです。実家暮らしの人、家庭のある人など、それぞれ置かれている状況は違いますが、今、フリーランスの音楽家の多くは困窮しています。持続化給付金ではとても足りず、音楽と関係のないアルバイトで食いつないでいる人も少なくありません。介護福祉士などの資格を取得した人いますし、スポーツインストラクターのバイトを始めた人もいます」

音楽家では食べていけずに介護士の資格を取った人も… Photo by iStock