# 新型コロナウイルス

コロナ禍に「世界同時株高」の深層…メディアがなぜか報じない「不都合すぎる真実」

失業は増えているが、消費が減らない…
広木 隆, マネクリ プロフィール

職はなくとも政府がカネを支給してくれる。昨年の春、コロナが直撃して雇用が瞬間蒸発し消費も落ち込んだタイミングで家計の可処分所得が急増している。失業手当の支給に加え、1人1200ドルの給付金が国民に配られたからだ。

グラフ7: ピンク:小売売上高 緑:可処分所得/出所:Bloomberg
 

これが雇用が完全には戻らなくても消費がコロナ前の水準を越えて拡大している理由である。給付金の支給が一巡すると可処分所得も鈍化し小売売上高の伸びも減速している。しかし、この統計には昨年12月に決まった追加対策の効果が入っていない。

年末年始に追加で600ドルが配られ、失業給付を積み増す特例措置も9月まで延長された。そしてさらにバイデン大統領は1兆9000ドル規模の追加景気刺激策を発表した。国民1人あたり1400ドルの直接給付を含む1兆ドルの家計支援策が盛り込まれている。

これが通れば再び家計の可処分所得は増加し消費にも投資もカネが回るだろう。

まるで疑似ベーシックインカム。これが終わると…

職を失って働くことができなくても政府がカネを配ってくれるから生活も守られ消費もできる。これはまるで疑似ベーシックインカムだ。ただし、あくまで「疑似」であって恒久的なものではない。

米国経済がこのモルヒネのような疑似ベーシックインカムに依存した消費に支えられているならば、これが途切れる時こそ危ない。米国政府もいつまでもカネを配れるわけではないからだ。そうなれば、従来通りの「職→所得→消費」の構図で欠けたピースである職を取り戻さなければ、消費は回らない。

しかしコロナが終息しても前述のように雇用は元に戻らないだろう。無形資産の台頭で人間の労働力は以前のような需要がないからだ。

いまはコロナで、こうした「不都合な真実」は覆い隠されている状態だが、コロナに収束の兆しが見えた時、市場が察知するのは金融緩和の終焉ばかりではないだろう。

労働市場の構造的問題とそれが生み出す米国経済の脆弱性に目を向ければ、解決不能な様々な矛盾があぶり出される。金融緩和がたとえずっと先まで続くとしても、そのリスクを直視したときマーケットはどれだけ耐久性を発揮できるか。心許ない限りである。

当記事はマネクリ(運営:マネックス証券)が提供している記事です。
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