# 新型コロナウイルス

コロナ禍に「世界同時株高」の深層…メディアがなぜか報じない「不都合すぎる真実」

失業は増えているが、消費が減らない…
広木 隆, マネクリ プロフィール

「マシン」がいる時代

英フィナンシャル・タイムズ紙のグローバル・ビジネス・コメンテーターであるラナ・フォルーハー氏は、無形資産の拡大が「雇用なき景気回復」をもたらすと指摘する。

企業などの雇用主は過去20年間、経済が有形資産から無形資産重視へと転じるに従い、少ない労働者で多くの仕事をこなせるようになったからだと述べている(2020年10月9日「無形資産で新たな危機」)。

しかし、これは今に始まったことではない。技術革新によって人間の仕事が奪われる現象は、19世紀初頭の産業革命の頃から繰り返されてきた。技術的失業(Technological Unemployment)に対する脅威は、シモンド・ド・シスモンディ、トマス・ロバート・マルサス、デビッド・リカードなど19世紀の著名な経済学者が議論し、20世紀になってジョン・メイナード・ケインズも取り上げたテーマである。

近年ではエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーの『機械との競争』『ザ・セカンド・マシン・エイジ』がそれを描いている。

 

彼らのいう「マシン(機械)」はベルトコンベアーのような人間の動力を代替する機械ではなく、頭脳を代替するAIである。AIだけでなくデータベース、ソフトウエア、知識などまさに無形資産である。

ラナ・フォルーハー氏が指摘する「雇用なき景気回復」は今回のコロナ禍でさらに加速するだろう。なぜなら無形資産の拡大で少ない労働者で多くの仕事をこなせるようになったことがより鮮明に統計に表れているからだ。

タイラー・コーエンは著書『大格差』の中で、リーマンショック直後の2009年、大量の失業が発生したのに生産性はむしろ記録的な上昇を示したことを指摘した。

グラフ4:米国の労働生産性と雇用者数(リーマンショック時)
(注)労働生産性は非農業部門の時間当たり生産高、季節調整済み、2009年=100 雇用者数は非農業部門雇用者数、季節調整済み/出所:Bloomberg

これは何を意味するか。労働者が減少してもアウトプットは落ちなかったということである。無論、「マシン」が人間の労働力をカバーしたからである。そして2010年になって雇用が底打ちから上昇に転じると、生産性の伸びも頭打ちとなって停滞してしまう。

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