それでも見つからずに時計は夜の9時を回りました。祐樹さんは翌日、仕事です。「やるべきことはやっただろう」と家路についたのですが、それでも妻は鬼の形相で待っていたのです。
「私はこれから私のことをすべて受け入れてくれる人を探します。たとえ私が戯言を言っても好きだと言ってくれる人です。残念ですが、あなたはそういう人ではありません」
妻はくたくたで帰ってきた祐樹さんにそう言い放ったというのです。
そして結婚指輪、家のスペアキー、そして前もって用意しておいた離婚届をリビングのテーブルに置くと、祐樹さんと入れ替わるように家から飛び出し、姿を消したのです。
しかし、これはほんの始まりに過ぎませんでした。祐樹さんが青ざめる「本当の悲劇」がここから始まったのです。