祐樹さんの予算は無限大ではありません。離婚を勝ち取るために費やすお金は少なければ少ない方が良いのですが、とはいえお金を渋ることで妻が離婚に応じてくれないのでは本末転倒。では離婚に対してどのような“値付け”をすれば良いのでしょうか。
「正直、疲れました。もういい加減、解放されて自由になりたいです」
祐樹さんはため息まじりにそう言いますが、外から見ると絵に書いたような幸せな家庭でした。上場企業の会社員で安定収入が保証された夫。家を守り、夫を支える専業主婦の妻、そして小学校に上がったばかりで可愛い盛りの息子さん。
しかも、3年前に購入したマイホームに引っ越してきたばかり。住宅ローンの返済はこの先、34年間も続き、残債務はまだ4200万円もあるのですが、そのことを差し引いても、祐樹さん夫婦には明るい未来が待っているように思えました。
しかし、家庭の「内」に入ると景色は一変。
家にいるのは妻子のみ。祐樹さんは家を出て、実家に戻り、すでに1年が経過。祐樹さん家族はすでに崩壊した状態だったのです。
「息子のことを考えると苦渋の決断でした」と振り返りますが、祐樹さんは電話やメール、LINEで何度も妻に伝えました。「離婚して欲しい」と。しかし、妻から前向きな返事を得られず、時間ばかりが過ぎ、別居のまま2021年をむかえたのです。