ジョン・フォン・ノイマン(photo by gettyimages)

コンピュータ、原子爆弾を開発…フォン・ノイマンの天才すぎる生涯

マッド・サイエンティストの素顔とは?
64年前の今日、人類史上最恐の天才であるフォン・ノイマンが53歳の若さで亡くなりました。コンピュータ、原子爆弾、ゲーム理論、天気予報などの原形をつくった天才は、どのような人生を送ったのでしょうか? ノイマンの生涯と思想に迫った最新刊『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』(2月16日発売)から、「はじめに」を特別公開します!

「人間のフリをした悪魔」

20世紀を代表する天才のなかでも、ひときわ光彩を放っているのが、ジョン・フォン・ノイマンである。

彼は、わずか53年あまりの短い生涯の間に、論理学・数学・物理学・化学・計算機科学・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学に関する150編の論文を発表した。

 

天才だけが集まるプリンストン高等研究所の教授陣のなかでも、さらに桁違いの超人的な能力を発揮したノイマンは、「人間のフリをした悪魔」と呼ばれた。

彼は「コンピュータの父」として知られる一方で、原子爆弾を開発する「マンハッタン計画」の科学者集団の中心的指導者でもあった。

マンハッタン計画を主導したオッペンハイマー(左)とノイマン(右)(photo by gettyimages)

彼の死後、生前の論文を集めて出版された英語版『フォン・ノイマン著作集』は、全6巻で合計3689ページに及ぶ。

第1巻「論理学・集合論・量子力学」、第2巻「作用素・エルゴード理論・群における概周期関数」、第3巻「作用素環論」、第4巻「連続幾何学とその他の話題」、第5巻「コンピュータ設計・オートメタ理論と数値解析」、第6巻「ゲーム理論・宇宙物理学・流体力学・気象学」というタイトルを眺めるだけでも、彼の論文がどれほど多彩な専門分野に影響を与えたか、想像できるだろう。

先行研究もほとんど皆無

プログラム内蔵方式の「ノイマン型コンピュータ」、量子論の数学的基礎に登場する「ノイマン環」、ゲーム理論における「ノイマンの定理」など、20世紀に進展した科学理論のどの研究分野を遡っても、いずれどこかで必ず何らかの先駆者として「ノイマン」の導いた業績に遭遇する。

ネットで検索すると、「ノイマン集合」、「ノイマン・ボトルネック」、「ノイマン・モデル」、「ノイマン・パラドックス」など、彼の名前が冠された専門用語を50種類以上発見することができる。

その一方で、ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値を重視し、いかなる道徳基準にしたがって行動していたのかについては、必ずしも明らかにされているわけではない。

さまざまな専門分野の枠組みの内部において断片的に議論されることはあっても、総合的な「フォン・ノイマンの哲学」については、先行研究もほとんど皆無に等しい状況である

そこで、ノイマンの生涯と思想を改めて振り返り、「フォン・ノイマンの哲学」に迫るのが、『フォン・ノイマンの哲学』の目的である。

それも、単に「生涯」を紹介するだけではなく、彼の追究した「学問」と、彼と関係の深かった「人物」に触れながら、時代背景も浮かび上がるように工夫して書き進めていくつもりである。ノイマンの哲学とは何か、読者に一緒にお考えいただけたら幸いである。

はじめにフォン・ノイマンの生涯を概観し、とくに日本と関係の深い原爆投下に関連してノイマンの果たした役割を振り返ってみたい。

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