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寒波到来であわや大停電…日本の「電力不足」がここまで深刻な理由

「脱炭素」なんて本当に可能なのか

電力需給はカツカツ

今年の冬は寒い。その上、多くの人がテレワークで家にいてガンガン暖房をかけているからだろうか、電力が全国的に逼迫している。

昨年末から年初にかけて、まず東京、関西などで電気が足りなくなり、他のエリアから随時融通していたが、次第に関東も冷え込みがキツくなるという予想で、まもなく全国的に余裕がなくなるだろうと見込まれた。

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天気が悪いため、太陽光発電も使えない。そのため7日ごろから電力は全国的に逼迫し始め、電事連は10日と12日の2度にわたって、「電力の需給状況と節電へのご協力のお願いについて」を発表している。

https://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2021/01/10/press_20210110.pdf

https://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2021/01/12/press_20210112.pdf

下記は12日14時時点でのピーク利用率の予想(ピークは夕方)。

(エリア / 使用率 / 時間帯)
北海道 / 95% / 9~10時
東北 / 97% / 9~10時
東京 / 95% / 16~17時
中部 / 95% / 17~18時
北陸 / 96% / 10~11時
関西 / 98% / 17~18時
中国 / 96% / 9~10時
四国 / 97% / 9~10時
九州 / 96% / 17~18時

電気は、常に需要量に合わせて発電しなければならないが、その場合、突然の需要量の変動に備えて3%ほどの余剰を見込むことになっている。しかし、この予想では使用率は97%を超えているエリアもあり、非常に危険な状態であったことが分かる。もし、どこかの発電所が何らかの理由で脱落したら、大停電もあり得るというカツカツの状況だ。

現下の電力不足は根が深い。まず、10年前に原発が突然無くなったことにより、火力に異常な負担が掛かっている。老朽化した火力発電所まで総動員して使っているから、当然、トラブルも多い。電力会社の社員というのは、「停電させない」ことを絶対的使命と心得ている人たちなので、必死でメンテナンスをしながらどうにか繋いでいるというのが現状だ。

 

ただ、現在のように10年に一度とも言われる厳しい寒波が訪れれば、発電量が需要に追いつかないという事態になる。その上、もっと深刻なのは、すでに10日の発表で触れられているように、発電用燃料の在庫切れだ。燃料が切れれば、発電所は何の役にも立たない。

燃料逼迫の一因は、海が荒れ、特に日本海側の港に輸送船が接岸できない日が続いたからだという。日本における発電の燃料は、現在、ほぼ4割がLNG(液化天然ガス)、3割が石炭、1割弱が石油で、どれも世界のあちこちから船で運ばれてくる。

石油の備蓄は約170日分、石炭は約30日分あるが、LNGは2週間分ぐらいしかないというから、船が着かなければ最初に足りなくなるのはLNGだ。ヨーロッパなら、ロシアの天然ガスでもノルウェーの天然ガスでも、そのままパイプラインで運ぶが、日本は島国なのでそうもいかず、マイナス162度で液化させた天然ガスを専用の船で輸送する。ちなみに、このコストのせいで、日本が使っているLNGはおそらく世界一高い。

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なお、陸上げしたLNGは専用ターミナルでガスに戻すが、これは2週間も経つとどんどん揮発していくので、大量に調達する意味はない。ただ、2週間で減っていくということは、賞味期限の短い食料品と同じで、備蓄とは言えないかもしれない。

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