前回、ALSでも「声」と「呼吸」の進行を止めていると思われる自主トレーニングについて話しましたが、たくさんの反響をいただきました。今回はその続きと基本的な「声」に対する思いと、これまでご質問の多かった私の現状をお話ししたいと思います。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を検索すると、「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明が多くあります。もう少し詳しい説明を探すと「筋肉が動かなくなってしまう」と書かれています。そして「現在、効果の認定されている治療法がない」と言われている事で知られています。そういうことをどのように受け止めていったのか、実際どのように変化していったのか。順番にご説明します。

ニャンちゅうやちびまる子ちゃんの関口くんの声などでも人気の津久井教生さんがALSの告知を受けたのは、2019年9月のこと。3月に足に異変を感じ、半年の検査を経てのことでした。そのときに津久井さんが得られた情報は、冒頭で津久井さんが書いていることしかありませんでした。では実際どのように変化し、受け入れていったのか。津久井さん連載「ALSと生きる」にて、率直に綴ってくださいます。
2020年の「ニャンちゅう」チームの皆さん。左から比嘉久美子さん、津久井さん、鎮西寿々歌さん 写真提供/津久井教生
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演じるためにも「声」は大切です

現在、様々な養成機関なども含めて演出やボイストレーニングをして「基礎の発声」などの重要性を講義している身分ではありますが、声優になったばかりの頃はそうでもなかったのです。美しい日本語を話すよりも、その役をどんな発想で演じるのかなどが重要と考えて「演技の基礎」と呼ばれる「発声」を蔑ろにしていました、若気の至りです。

後々に演じる側から作り手の側にいくようになって、「基礎の発声」の大切さに気が付いていったのでした。

特に声優の場合は、声のニュアンスで表情を作るという演技手法が原点にありますので、発声で支えることが多いのです。確かに近年は「イケボ(イケメンボイス)」なるものもゲームなどを中心に声優業界に登場してユーザーの皆さんに認知され、録音の機材などの発達と同時に変化してきたと思います。

この基礎発声の実践を続けてきたことがALSとなったあともプラスに働いたことは間違いありません。今後もボイストレーナーの勉強を続け、ALSの対症療法に役立てていこうと思います。