ワタナベマホト“擁護”で炎上・謝罪した東海オンエア・てつやが「天才と言われる理由」

飯田 一史 プロフィール

てつやの特徴のみっつめは「戦略がない」が、行動的なことである。流行に乗ろうとかマネしようという考えはない、YouTuberとして成功したいと思っているわけではない、と本に書いてある。

りょうがカジサック(キングコング梶原)のチャンネルに出演した「【スペシャル】東海オンエアりょうさんが部屋に来てくれました」での発言を聞いても、東海オンエアは、出した動画の結果を分析して次の企画に活かしてストイックに数字を追求していく、といった方針でチャンネルを運営していないことが確認されている。

東海オンエアは、自分たちがおもしろいと思うネタを月1の会議で出し合い、週6本アップしていくだけなのだ。視聴者の反応を見て、そこから傾向と対策を練って上手く立ち回るとか、PDCAを回してウケたジャンルに最適化していく、といったことはしない。短期的に数字を追い求めるならその方がよさそうだが、しない。動画・企画の本数は決めているが、内容に関しては数字を見てというより感覚的に判断している。

もちろん、データ分析を意図的にしないというより、てつやの編集した動画ではサムネイルがいつまで経っても上手にならず「クソサム」と呼ばれ続けているように、たとえやろうとしてもあまりうまく「できない」面もあるのかもしれない。

 

しかしその結果、東海オンエアの企画はバラエティに富み、観ていて飽きないことにつながっている。近年、ビジネスの世界では「両利きの経営」――既知の領域を掘り下げる「探索」と未知の領域に踏み出す「探究」を両輪にすること――の重要性が説かれている。ひとは、放っておくと慣れ親しんだ、見知ったものばかり選びがちである。目先の数字を追うことを第一に置くと、その傾向はより強まる。人類学者デヴィッド・グレーバーも「資本主義こそがイノベーションを阻害している」と言っている。したがって、意識しなければならないのは「探究」、うまくいくかどうかわからない新奇なものへの挑戦である。

「どの動画がよく再生されて、どれがすべったか」を精緻に分析し、戦略的に考えることは、一方で次の企画の際に「こういう動画はどうせウケないだろう」という決め付け、発想の萎縮、ネタの傾向の固定化につながる。てつやは「何も考えていない」ことによって、むしろその種の思考のブロックに囚われずに、自由な発想を維持できているのだろう。

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