2021.01.21
# 物性

人類の物質観を革新する「トポロジカル物質」、そのカギは時間や空間の反転にあり

バーチャル空間で物質を観る
長谷川 修司

トポロジカル物質は「別世界」のモノ

トポロジカル物質を直感的に説明するのに、よく使われる別の例えが「メビウスの輪」です。

普通の物質は、ある長さに切った紙テープを素直につないで作った単純な輪で表現されるのに対して、トポロジカル物質は、紙テープを1回ひねってつないでできるメビウスの輪で表現されます。

単純な輪では、たとえば外側の面をたどって1周すると外側の面のままで出発地点に戻りますが、メビウスの輪では外側の面から出発して1周回るといつの間にか内側の面になって、出発点の裏側の地点に戻ってきます。もとの地点に戻るにはさらにもう1周して合計で2周しないと出発点に戻りません。これが、トポロジーが普通ではないことを表しています。

メビウスの輪 Photo by kvkirillov/iStock

メビウスの輪をどんなに変形しても単純な輪に戻すことはできません。単純な輪に戻すには、紙テープを一度ハサミで切って、ねじれを戻してつなぎ直す必要があります。この、テープをいったん切ってつなぎ変えるという操作は、上述の交通ルールの例えでは道路の左右が交差するということに相当します。

このような例えは、トポロジカル物質と通常の物質が、「別世界」のモノだということを象徴的に表しています。連続的な変形や操作によって、トポロジカル物質と通常の物質をつなぐことができないのです。

実は、このような現象が「運動量空間」というバーチャル空間で起こっているのがトポロジカル物質なのです。現実のリアルな空間ではなく、物質の性質を表すバーチャルな空間が運動量空間というものです。

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