『呪術廻戦』と『鬼滅』、アニメを比べて見えた制作サイドの「決定的な違い」

「制作スタイル」がまるで異なる
倉田 雅弘 プロフィール

「面倒くさい希望」をあえて叶える

一方のMAPPAは、『カードキャプターさくら』や『ワンパンマン』(第1期)を制作したマッドハウスの創設者のひとり、丸山正雄プロデューサーが、2011年に設立した会社だ。

少年たちが東京を爆弾テロで襲う『残響のテロル』や、崖っぷちのフィギュアスケーターの物語『ユーリ!!! on ICE 』、ゾンビとなった少女たちが佐賀のご当地アイドルを目指す『ゾンビランドサガ』など硬軟交えたオリジナル作品から、『うしおととら』『BANANA FISH』『どろろ』『ドロヘドロ』『呪術廻戦』『進撃の巨人 The Final Season』といった熱心なファンを持つ漫画原作作品まで、バラエティに富んだ制作ラインナップである。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season 公式ホームページより
 

設立からおよそ10年の間で、これだけ幅広いジャンルの作品を発表できるのは、高い生産力と優れた品質を保持できる会社としての体力の証しだ。

同社は2012年のテレビシリーズ『坂道のアポロン』以降、数年おきの劇場作品を交えながら、毎年3~5本ほどのテレビシリーズを制作。2020年は1年間で8作のテレビシリーズを制作した。

近年他のアニメ制作会社が、労働環境や賃金などの問題から制作本数を減らしていく傾向にあるのに対して、MAPPAは制作本数が多いのは需要があるとして、作品ごと、工程ごとにさまざまな専門性の高い制作会社や個人に発注し、生産性を高めることで前述のアニメーション業界の制作現場を悩ませる問題に対処しようとしている。アニメ業界全体に関わる問題から、目をそらさず取り組みたいという意向の現れだそうだ。

その一方、作品の品質においては、東宝の松谷浩明プロデューサーが、とある取材で同社について「良い意味で、作品ごとにスタジオの“色”が変わる」と語り、だからこそ『呪術廻戦』を依頼したと話すように、様々なタイプの作品に対応できる柔軟さも兼ね揃えている。

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