具体例2)相手があからさまに呆れている

今日は、毎月恒例の新商品開発会議の日。社長をはじめ、上役たち一同が会議室に集っています。
本日議題に上っているのは、ひとり暮らしを始めたばかりの大学生や新社会人をターゲットにした、リーズナブルな家電シリーズです。
ひとしきりプレゼンがすんだあたりで、司会が「何か質問はありますか?」と出席者に尋ねました。

毎回、会議ではほとんど発言をしないあなたは、今日くらいは存在感を見せておこうかな......と、手を挙げます。

「ひとついいでしょうか? どうも見た目が安っぽいんですけど、もうちょっと高級感を出したほうがいいんじゃないでしょうか?」

あなたが発言したとたん、会議室にシラーッとしたムードが漂います。
司会者に至っては、あからさまに呆れ顔。

あなたの発言には、一体どんな失言があったのでしょうか?

会議のときの凍てついた空気… Photo by iStock

リサーチ不足のまま質問していませんか?

質問を受けた相手があからさまに呆れた顔を見せるのは「的外れな質問をされたとき」です。言い換えると「頭の悪い質問をされたとき」です。
以前、テレビで次のようなシーンを見たことがあります。 このところ、ガンの新しい治療法として「中性子捕捉療法」が注目されていますよね。 これは「ピンポイントでガン細胞だけを破壊する」という中性子の性質を利用した新しい放射線治療で、これまでの放射線治療の「ガン細胞以外の細胞まで破壊してしまう」というデメリットを解消したものです。 つまり、より患者さんへの負担が軽くなるようにと研究開発された治療法なのです。
この「中性子捕捉療法」の学会発表にやってきた記者の中に、こんな質問をした人がいました。

「それは、安全な治療法なんですか?」

テレビには映っていませんでしたが、冷たい軽蔑のまなざしを向けてくる学者先生の姿が目に浮かぶようですね。 そもそもが、患者への安全性を高めるために誕生した新療法なのですから、「安全なんですか?」という質問は的外れもいいところでしょう。

冒頭のエピソードでの、あなたの質問も同じこと。会議で話題になっているのは、新入生や新社会人、つまりあまりお金を持っていない若い人をターゲットにした「リーズナブルな家電」です。 「高級感を出したほうがいいんじゃないですか?」というあなたの質問は、そもそもの商品コンセプトとズレている可能性があるわけです。