英国はなぜ日本を諜報同盟ファイブアイズに招き入れようとするのか

第一人者が語る地政学・先進技術の価値
長島 純 プロフィール

日本との関係強化はこれだけのメリットがある

2020年6月、ファイブアイズは、共通の安全保障政策の強化やパートナー諸国との関係強化などを確認したとする国防相会合の概要を公表した。また、財務大臣会合ではコロナ感染症の経済的課題について議論を行い、更に香港問題でも中国との間で摩擦を恐れないなど、安全保障分野に加えて外交・経済分野でもその存在感を公に示し、積極的な情報発信を行っている。

このような変化は、日本とファイブアイズの関係にも影響を与えつつある。2020年7月21日、英保守党の中国研究グループ(CRG)のセミナーにおいて、河野防衛相(当時)はファイブアイズとの連携を強化する考えを明らかにし、トゥーゲンハット(Tom Tugendhat)英下院外交委員長も、これを歓迎する意向を示した。

その後、9月17日、議会内で、ジョンソン英首相は、日本のファイブアイズ加盟に関する質疑に対して、それは英側の考えであるとしながらも、日英関係を強化する上で意義があるとの見方を示す一方、ファイブアイズには「特別な一貫性 (particular coherence)」があり、英国はその考え方について加盟国間で協議する必要があるとの慎重な姿勢を崩さなかった。

しかし、既に、北朝鮮の弾道ミサイル開発などを契機として、この枠組みを維持したままパートナー国との協力関係を強化するファイブアイズ・プラス(Five Eyes plus)へ向けた動きの中で、事実上、日本との関係強化は既に始まっている 。

シーパワーである日本は、自由と民主主義を尊重し、共同体としての価値観も共有しており、インド・アジア太平洋地域の平和と安定のために、ファイブアイズとの間で一層の協力関係を築く条件は整い始めている。

日本は、戦後60年を超えて米国の同盟国であり続け、経済や安全保障面での連携を目指すQUAD(日米豪印4カ国協力)、将来のインド太平洋の地域秩序構築を目指すFOIP(自由で開かれたインド太平洋)などの既存の安全保障に係る協力枠組みの活性化にも積極的に取組んでいる。

今後、これらの安全保障に関する枠組みを重層的に組み合わせて、同地域の安全保障を強化していく中で、改めてファイブアイズとの関係を再定義することは大きな意味を持つであろう。

 

日本としては、1941年の米英両国首脳による政治的コミットメントの上に立つ政治同盟としての側面を有するという歴史的な背景を理解し、ファイブアイズと国益に関わる死活的利益の幾つかを共有し得ることを再確認した上で、その将来の加盟を含めた連携強化の働きかけを積極的に進めるべきである。

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