1941年8月、北大西洋上、戦艦プリンス・オブ・ウェールズでの英米首脳会談 by Gettyimages

英国はなぜ日本を諜報同盟ファイブアイズに招き入れようとするのか

第一人者が語る地政学・先進技術の価値

そもそもファイブアイズとは何者か

ファイブアイズ(Five Eyes)は、米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランド五カ国から構成され、政治的、軍事的な情報を共有する同盟である。

第2次大戦中、連合国の盟主であったルーズベルト米大統領とチャーチル英首相は、戦艦プリンス・オブ・ウェールズ上で首脳会談を行い、通信傍受した機微な暗号情報を共有することに合意した。この政治合意こそが、ファイブアイズの起源であり、現在に至るまで、このインテリジェンス共有が同盟を支える大きな柱で有り続けている。

これら加盟国は、1943 年のシギント(信号情報)協力に係るBRUSA協定(後にUKUSA協定)の厳格な順守が義務となっていたが、基本的に、文化、言語、及び経済の面で強固な親和性を有する共同体としての性格が変わることはなかった 。

20世紀終わりの第1次湾岸戦争頃までは、米国はその国力をもって他国を物理的に圧倒し、情報の分野においても、世界秩序の中心に位置した。

一方、英国など他の加盟国も、東西冷戦期には、人を媒体とするインテリジェンスの共有を通じて米国を支え、冷戦の勝利に大いに貢献することで、国際的な舞台において発言力と存在感を維持し続けることが可能であった。

しかし、ファイブアイズを取り巻く国際環境が急激な変化を遂げ、21世紀になってインターネットなどの情報通信技術(ICT)が急速に進化しつつある現在、情報共有同盟であるファイブアイズも、それらの変化に柔軟に適応せねばならず、同盟として大きな過渡期を迎えつつある。

英国空軍メンウイズヒル基地の通信傍受施設 by Matt Crypto

近年、日本とファイブアイズ諸国との間での関係強化に係る動きが頻繁に見られる。第2次世界大戦のアングロサクソン連合であり、しかも「特別な関係」と言われる閉鎖的な情報協力枠組みが、なぜ、大戦における交戦国で非英語圏に属する日本へのアプローチを活発化させているのか。

 

戦後、インテリジェンスの巨人であり続けたファイブアイズを取り巻く環境の変化、そして、ファイズアイズから見た日本の現在の「価値」について考察していきたい。

編集部からのお知らせ!

関連記事