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給料は減り、頼る人もいない…孤立する"父子家庭"の見えない「貧困の実態」

支えられない日本の構造のゆがみ

厚生労働省の発表によると、ひとり親の平均世帯年収はシングルマザーで243万円、シングルファーザーで420万円と、ふたり親世帯の平均年収(669万円)との差は大きく、「子どもの貧困」が大きな社会問題となっています。

シングルマザーの貧困についてはメディアでも大きく取り上げられていますが、一方でシングルファザーの生活の困窮についてはあまり取り沙汰されてはおらず、彼らにどんな困難があるのか、社会的認知度が薄い状況です。

そんな状況から、今回、『ときどき女装するシングルパパが娘ふたりを育てながら考える家族、愛、性のことなど』(WAVE出版)を上梓した作家の仙田学さんと、一般社団法人ひとり親支援協会の代表理事であり、ひとり親交流サークル「エスクル」を主宰する今井智洋さんに、ひとり親、シングルファーザーが直面する現状と解決すべき課題について語っていただきました。

(聞き手・構成:アップルシード・エージェンシー 栂井理恵)

相談件数はコロナ前の「3倍以上」

――新型コロナウイルスの影響による、失業や収入源などがニュースで取り上げられています。そのなかで、ひとり親家庭も生活困窮に追い込まれており、仕事や収入に大きな影響が出ていると聞きますが、実際にはどのような状況なのでしょうか。

今井智洋さん(以下、今井) 私が代表を務める「ひとり親支援協会」で行ったアンケート調査では、コロナの影響による収入減を不安に思う声が多く寄せられました。「ひとり親」のうち、収入が減ると応えたシングルファーザーは54%にまでのぼります。

「コロナで会社の業績が悪くなり、ひとり親を理由に規定の業務ができないと解雇された」「保育園が休みで、玩具や絵本、食事などの支出は増えたが、収入が減って大変」というコメントも寄せられました。

また、生活困窮の相談やお問い合わせの件数も、シングルファーザーも含めコロナ前より3倍以上になるなど影響は深刻です。

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仙田学さん(以下、仙田) 私も同じです。以前は会社勤めをしていたのですが、ひとり親になったことをきっかけにフリーランスとして働くことにしました。

両親は健在ですが、高齢で育児においても経済面でもそれほど頼ることができず、当時は子どもたちもまだ未就学児だったため、育児や家事と両立させるためにはある程度自由に時間が取れる働き方をする必要があったからです。

ですが、働き方としては非常に不安定なもので、今回のようなことがあると大きな影響を受けます。一時期は仕事が激減し、収入が3分の1ほどになってしまいました。

今井 後にもお話ししますが、ひとり親、シングルファーザーの場合は特に、子育てのコミュニティから「孤立」しやすい状況にいます。

なかには、誰にも頼れずに孤立に陥った結果、子どもに強くあたってしまったなど、家庭内の状況が表面化されず、児童虐待の問題につながるケースもあります。

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