テレワークは、「妖精さん」「社内ニート」を退治する特効薬となる

コロナ後の未来年表(6)
河合 雅司 プロフィール

組織にぶらさがって来た人

このように、社員個々が自分の頭で考えて仕事を完結させざるを得なくなるということは、優秀な人材の掘り起こしにつながる。企業としては適切な人事評価が可能となり、成長分野に人材を投入しやすくなる。結果として、社員全体の意識改革が図られれば、個々の能力の底上げにつながる。

そうでなくとも、少子化で新規採用が困難になっていく時代において「業務の無駄」の徹底排除が求められている。テレワークは今後も試行錯誤は続くだろうが、「コロナ後」に向けて定着していくことだろう。

こうなると、必然的に炙り出されるのが〈組織にぶらさがって来た人〉の存在だ。

262の法則」という言葉がある。どの集団においても、全体の2割が意欲的に働き、6割は普通に働き、残りの2割はあまり働かなくなる傾向が表れることを指す。

多くの職場に、出世コースから外れたり、希望の部署に配属されなかったりしてモチベーションが下がる人がいるだろう。また、仕事の実績はイマイチながら、職場の雰囲気を明るくするムードメーカーとして重宝されるタイプの人も珍しくない。

だが、テレワークが普及してくると、こうした人たちは通用しなくなる。「仕事をしない会社員」などは尚更だ。〈妖精さん〉や〈社内失業者〉は、ますます居場所を失うであろう。

「社内ニート」は若手社員にも

〈妖精さん〉とは、定年間近で目標を見失い、「働き」に似合わない高い給料を得ている年配社員のことだ。

出社時間には会社に在籍しているのだけれども、いつの間にか席を離れて気が付くと会社からいなくなってしまう。そんなフワフワした存在感の無さを揶揄して名付けられたニックネームである。

一方、〈社内失業者〉は文字通り、企業に雇用されているにもかかわらず仕事を失っている人のことで、「社内ニート」と呼ばれることもある。

社会の変化についていけず、スキル不足に陥るということもあるが、企業の新業務に必要な能力と社員が持つスキルとが一致せず、異動先がなくなることでも起こる。

2008年のリーマンショック以降に深刻化し、いまやベテラン社員だけでなく、適切な社員教育を受けられずにいる若手社員にまで広がっている

適切な社員教育を受けられない若手社員(photo by iStock)

求人情報サービス大手「エン・ジャパン」が昨年5月に公表した実態調査結果では、〈社内失業者〉がいる企業は予備軍を含めて29%に上った。サービス関連や商社が高く、従業員規模では「300~999人」(45%)と「1000人以上」(47%)といった大きな企業に顕著であった。

2011年の内閣府の報告書によれば、全国の雇用者の8.5%にあたる約465万人が社内失業者に該当。現在は500万人ほどに増えているとの見立てもある。

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