描かれる「鬼の改心」

節分当日は、廬山寺(ろざんじ)の「鬼法楽(鬼踊り)」も見逃せない。京都御所の東にある廬山寺は、紫式部の邸宅址にある。昨年からは明智光秀の念持仏が公開され、多くの人々が訪れて注目されている天台宗のお寺である。

節分の日に斎行される「鬼法楽」では、太鼓と法螺貝の音を合図に、赤、青、黒、3匹の鬼が特設舞台に現れ、各々松明と宝剣、大斧、大槌をもって、足拍子をとりながら大師堂に入る。堂内では住職によって行われている護摩供(ごまく)を邪魔しようとするが、護摩供の秘法、邪気払いの法弓、蓬莱師と福娘によって撒かれる蓬莱豆と福餅に退治される。

廬山寺の鬼法楽。赤鬼は貪欲、青鬼は怒り、黒鬼は愚痴の化身をあらわす。撮影/秋尾沙戸子

その後、東西南北中央の5カ所に邪気払いの弓が放たれ、「改心した鬼」は人々の病気などの災い取り除く加持を行う。この鬼の改心というのがポイントで、聖護院門跡でも、暴れる鬼を山伏が退治する追儺式では、後に鬼が改心をして加持を行う。この加持に対しての人々の期待は大きく、いずこも長い列ができる(残念ながら、緊急事態宣言を受けて一部行事が中止。詳細はHPにてご確認ください)。

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鬼法楽の原型は、廬山寺の開祖・元三大師(がんざんだいし)良源が、宮中で鬼退治をした故事にある。正月三日に亡くなった良源は、比叡山の中興の祖としても知られ、10世紀、村上天皇の御代に天下泰平を祈る300日の護摩供を任されていた。護摩供の間、悪魔が現れて妨害しようとしたところ、良源が法具を使って退治したというのである。この逸話が後に良源の名を全国に広めるのであるが、廬山寺で現在のような節分の鬼法楽の形になったのは大正4年。良源に「魔滅」、すなわち「魔(マ)を滅(メッ)す」力があったことから、邪気払いに「マメ」が用いられているという。(*豆蒔きの理由には諸説ある)