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「トランプのアカウント凍結」と「メルケルのツイッター批判」、多くの人が誤解していること

1月8日、ツイッター社はトランプ大統領のアカウントを永久凍結した。これが「表現の自由」の理念に反するのではないかといった議論が日本でも盛んに行われている。1月11日には、ドイツのメルケル首相がツイッター社の措置について批判的な発言をしたことでさらにこの問題に注目が集まった。情報法の専門家はどう考えるのか。九州大学准教授の成原慧氏に聞いた。

トランプは「特例」だった

——ツイッター社はトランプ大統領のアカウントを永久凍結しました。日本では「表現の自由」の理念に反するのではないかといった声も上がっています。どう捉えていますか。

成原 そもそもトランプ大統領が長い間ツイッターの利用規約・ポリシーに違反するようなツイートを繰り返してきたことに注目する必要があります。ツイッター社は、暴力を賛美する投稿を禁じる利用規約・ポリシーを設けていますが、トランプ大統領はそれに違反したとして、何度も同社から警告を受けてきたのです。

それでもツイッター社は、トランプ大統領のツイートを削除したりアカウントを凍結したりはしてきませんでした。それは、トランプ大統領が選挙で選ばれた「公職者」であり、彼には公職者としてのアカウンタビリティ(説明責任)があるためです。いわば大統領という立場の公益性を考慮し、「特例」としてトランプ大統領のアカウントを扱ってきたわけです。

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そうしたなか、1月6日、トランプ大統領の発言に影響を受けたと見られるトランプ支持者たちが、連邦議会議事堂に乱入し、複数の死者が出るという緊迫した事態が発生しました。

ところがトランプ大統領はその後も、「バイデン新大統領の就任式を欠席する」などとツイートを続けました。こうしたツイートはトランプ大統領が相変わらず大統領選挙結果の正統性を認めていないことを示すもので、議事堂の襲撃が行われた後の状況においては、さらなるトランプ支持者たちの暴力行為を促すおそれがある——そうツイッター社は判断し、アカウント凍結を決めたと説明しています。

つまり、これまでは大統領という立場を考慮し特例としてツイッター社はアカウントを凍結してこなかったのですが、議事堂への乱入という非常事態の後では、大統領のアカウントとしての公益性を考慮してもなお彼のツイートの危険性が高いと判断してアカウントを凍結したわけです。

私もこのような状況下では、アカウントの凍結もやむを得ない面があると思います。

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