創価大学の往路優勝に青山学院大学の復路優勝、そして何より駒澤大学の逆転優勝で多くの感動を呼んだ2021年の箱根駅伝。本当に素晴らしい闘いだったことは何の疑問もない。そして選手たちが全力を尽くせる土壌を作った監督たちにも多くの賛辞が集まっている。

しかし、「素晴らしい闘いだったからこそ残念に感じた」という意見が飛び出したのが、優勝した駒澤大学監督が選手に「男だろ!」と檄を飛ばしていたものだ。SNSで差別的だと発言した人が「優勝に水を差すな」などと一斉攻撃を受けて炎上。管理者が見かねたのかスレッドが削除されたほどだったという。

ジャーナリストの島沢優子さんがジェンダーの専門家の話も踏まえ考察する。

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「『男だろ!』に賛辞」への疑問

「男だろ!」無名選手を開花させ逆転優勝した駒大監督のすごい檄力
「男だろ!」熱血連呼が復活V導いた

今年の箱根駅伝(以下、箱根)で13年ぶりに総合優勝を果たした駒澤大学の大八木弘明監督(62)が話題だ。特にフォーカスされるのが「男だろ!」「男なら行け!」といった声掛けだ。
コロナ巣ごもり&創価大というニューカマーの登場のW効果なのか、視聴率は32.3%と歴代最高を記録されたこともあって、大きく取り上げられた。

大手町は歓声に包まれたが…Photo by Getty Images

一方、この「男だろ」を聞いて、辛くなった人もいる。
首都圏に住むマラソン愛好家で箱根ファンでもあるという40代の女性は「すごくモヤモヤしました」と顔をしかめた。
「男だろという言葉は、男性を追い詰めるだけでなく、女性も追いつめると感じます。自分の存在を否定されたように感じて苦しい。耳をふさぎたくなりました」

マラソンが趣味だという都内に住む50代の女性会社員も「今どき、会社の中で男だろ、女だろ、は、禁句。管理職が口にすれば一発アウトです。そんな差別ワードで、若者たちが気合が入るなんてちょっと怖い」と首をかしげる。

女性だけでなく、男性も違和感を抱いたようだ。
レースをテレビで見て気になっていたという都内在住の大学4年生は「男だから走れるだろう的に聞こえた。自分だったら言われたくない」と首を振る。
「比較文化や社会学系の学生はジェンダー学の授業があるので、ジェンダー的にアウトだと知っている」
同じく都内に住む40代の会社員は「ご本人が(ジェンダーを)理解していないのは当然良くないが、それを美談に仕立てるメディアが気持ち悪い」と手厳しい。