悪から善は生まれるのか

本作でも、犯罪を償ったはずのダニエルは神学校に入れないし、村の被害者家族たちは加害者家族を村八分にする。キリスト教徒において、葬儀のミサは重大な意味をもつのに、ダニエルの前任者である司祭は加害者の葬儀を拒否していた。「罪人を赦す」カトリックの矛盾が露わになるのだ。

だが、この物語は決してカトリックを風刺するだけのものではない。加害者家族と被害者家族のトラウマへの向き合い方を通して、人間の再生の力を映し出している。

『聖なる犯罪者』より

青みがかった研ぎ澄まされた映像に、主演俳優バルトシュ・ビィエレニアの生々しく張り詰めた演技が絶妙にとけ合い、次に何が起こるかわからぬ緊張感たっぷりのスリルを生む本作。ポーランド本国で400万人以上の観客を動員し、同国のアカデミー賞を総ナメしたこの作品はラストも決して一筋縄ではいかない。

『聖なる犯罪者』より

悪人にも善行は可能なのか。悪から善は生まれるのか。人間は変わることができるのか――。本作を観て、あなたなりの結論を見つけてみてほしい。

【参考】
※1…Documentary on Fr. Jerzy Popiełuszko: A martyr who fought against communism – ROME REPORTS in English
※2…'Christianity as default is gone': the rise of a non-Christian Europe The Guardian


『聖なる犯罪者』は1月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷ホワイト シネクイントほかにて公開!以降全国順次。

(C)2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.- WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.- Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie - ITI Neovision S.A.- Les Contes Modernes