「ニセ神父」のほうが一般の人を惹きつける

本作の撮影中、パツェヴィチさんも驚いた偶然があった。ポーランド南部にある小さな村がロケ地だったのだが、その村でも過去に、2年も神父になりすましていた男がいたというのだ。パツェヴィチさん曰く、ポーランドだけでなく、スペインやオランダでもこのような出来事が起こっているらしい。とはいえ、ヨーロッパではキリスト教徒が減っているはずなのに、なぜこのような事象が頻繁に起こるのか。

『聖なる犯罪者』より

「理由は明解です。聖職者がてっとり早く稼げるからですよ」(パツェヴィチさん、以下同)

映画で描かれているように、自称・神父がふらっと村を訪ねて、それらしい、“ありがたい”ことを言えば村人は信じてしまうそうだ。信心深い人たちは司祭服を着ている人間に身分証明書を求めたりしない。ヨーロッパの田舎村では神父が個々の家を訪ねて説教し、お布施をもらう習慣が残っているので、教会で大きな説教をしなくてもお金を稼ぐことができるのだそうだ。

『聖なる聖職者』より

けれども、本物の聖職者になることはヨーロッパでは非常に難しいと聞く。神学校の厳格な教育課程や修練が必要なのに、普通の若者が簡単に偽装できるものなのだろうか――。

なりすましをしている人たちは、“普通の人”の側で生きてきたので、普通の人と同じ言葉を話し、同じ歌を歌う。分かりやすい話や、歌、ダンスやラップなども使って人々の心をつかむのです」