続いて、もう一方のボラティリティだ。
こちらも厳密さを無視してざっくりと感覚でとらえれば、過去の平均リターンがほぼ同一の2つの銘柄を仮定した場合、それぞれの振れ幅が大きいか小さいかを判断しているだけだ。いわゆる「標準偏差」という指標だ。
ある銘柄がその他の銘柄よりボラティリティの値が大きければ、株価の変化の振れ幅が大きくなりやすいことになる。ベータとの違いは、ベンチマークに対する連動性と感応度を主体に置かず、個々の銘柄の変動しやすさに注目していることだ。
これを踏まえたうえで、昨年からの株式市場と高リスク銘柄の関係性を考えると、2020年の年始はコロナ禍の深刻化によって株式市場は強烈な暴落を見せ、経済が低迷しながらも年末にはコロナ前を上回る水準にまで強い上昇を達成した。
まず考えられるのは、最終的には株式市場は戻り高値を付けて終えたので、リスクファクターのうちで、単に変動性を見るボラティリティよりも、市場全体への感応度を見るベータの高い銘柄の方が良く機能したのではないかということだ。
一方で、景気の低迷は続いており、コロナ再拡大により収束の糸口も見えないため、株高とはいえリスク回避型の低ベータ、低ボラティリティ銘柄の方が優勢だったのではないか、という推測も可能だ。
これに対しての結論を述べれば、その両者が「ハズレ」である。