〔PHOTO〕iStock

「過去最高」の翌年に「8割消失」の衝撃〜壊滅状態のライブ市場はどうなるのか

2021年も厳しい状況が続くが…

2020年、ライブエンタメ業界の市場は約8割が消失――。ぴあ総研が衝撃的な試算値を発表した。

新型コロナウイルス感染症の拡大によって様々なビジネスが一変した2020年。中でも大幅な縮小を余儀なくされたのが、音楽や演劇、スポーツなどのライブ・エンタテインメント市場だ。緊急事態宣言の解除後も大規模イベントの制限は続き、年末に予定されていたカウントダウンフェス「COUNTDOWN JAPAN 20/21」が中止となるなど、感染拡大の第3波を受けて再び厳しい局面に追い込まれている。

一方で、有料のオンラインライブが定着し、ライブ配信が新たなビジネスモデルとして確立しつつあるのはエンタメ業界にとっての明るい兆しと言っていい。

右肩上がりの成長を果たしてきた2019年までの10年間と、壊滅状態の2020年を経て、2021年のエンタメ業界は果たしてどこに向かうのか。ぴあ総研所長・笹井裕子さんに話を伺った。

 

過去最高からの「8割消失」

――昨秋、ぴあ総研は2020年のライブ・エンタテインメント市場が対前年比で約8割減となる見通しを発表しました。これはどういった状況を受けての試算でしょうか?

ライブ・エンタテインメント市場規模の推移(ぴあ総研調べ。2020年10月25日時点の試算値)

笹井:観光や飲食など、コロナ禍で厳しい局面に立たされた産業は他にもあると思いますが、ライブ・エンタテインメント市場はその中でも特に打撃が大きかったと思います。2月下旬にイベント等の中止、延期、規模縮小の要請がなされて、他の産業よりも早く自粛の動きが広がった。その後の緊急事態宣言下ではイベント開催がゼロの状態まで落ち込みました。解除後も収容人数の制限が徐々に緩和されていますが、なかなか再開に向けて立ち上がれない状況が続いています。結果として、過去最高の数字を記録した2019年に比べて、約8割の市場が消失した推定値となっているのが現状です。

――8月以降、ライブやコンサートは収容人数の50%の動員という制限がありつつ徐々に開催されるようになってきましたが、それでも市場の回復は予想以上に進まなかったということでしょうか。

笹井:ここ数年、ドームやスタジアム、アリーナのような大規模なイベントの公演数が増えたことが、ライブ・エンタテインメント市場の好調の要因でした。実際、こうした公演が市場規模に占めるシェアも大きいです。特に音楽のポップス分野においては市場規模の約半分が収容人数1万人規模以上の公演となっている。こうしたイベントが通常通り開催できないかぎり市場の回復は遅々として進まないという構造もあります。また、2021年に入って二度目の緊急事態宣言が発出されるまでは、収容人数5000人以下のイベントで、ジャンルによっては会場のキャパに対して100%の動員で公演を行うことができるものもあったのですが、実際にそういう形で開催されている公演は限定的です。主催者自身が感染予防を考えて公演の開催を見送ることもありますし、公演を行うとしても通常通りとはいかない状況が続いています。

編集部からのお知らせ!

関連記事