新型コロナ感染で重症化する人としない人の違いは何から来る?

科学者たちの闘いの最前線に迫る
NHKスペシャル取材班

多様化の力

しかし、万能の手は危険でもある。大して害はない細菌やウイルスにも過剰に反応したり、免疫が自分自身の細胞に牙を剥いてしまったりする恐れがある。関節が変形したり、関節痛が生じたりする関節リウマチや、あちこちの臓器で炎症が起こる全身性エリテマトーデスは、自分を守るべき免疫が自分を攻撃する自己免疫疾患の代表例である。

 

生命は、万能な「手」のかたちの代わりに、多種多様な「手」のかたちを進化させてきた。そうすれば、どんな感染症に襲われても、誰かは助かり、種の絶滅を避けられるのだ。

マウスの実験によれば、雌マウスは嗅覚で、雄マウスのMHC(主要組織適合遺伝子複合体。ヒトのHLAに相当する)を嗅ぎ取り、自分のMHCと異なる系統のMHCを持つ雄を交尾の相手として選ぶ傾向が見られたという。

スイスの学生を対象とする実験では、女子学生に、数人の男子学生がそれぞれ何日も着用したTシャツを並べて、どの臭いを心地よく感じるかを訊ねると、自分のHLAと遺伝的に遠いHLAを持つ学生が着たTシャツを選ぶ人が多かったという。HLAを多様化させようという力は、ヒトの行動も左右している可能性があるのだ。

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