新型コロナ感染で重症化する人としない人の違いは何から来る?

科学者たちの闘いの最前線に迫る
NHKスペシャル取材班

遺伝的要因が重症化を左右する可能性

人類の長い歴史において、特に感染症や病原体は、人類にとって最大の敵であり続けてきた。もし病原体に対する反応が、多くの人で一様であったなら、集団は簡単に絶滅してしまう。そのため、病原体と対抗するための免疫にかかわる遺伝子は、人体のあらゆる遺伝子の中でも、最も多様なバリエーションがあるもののひとつと考えられているのだ。

 

そんな免疫反応の個人差を明らかにしたという点において白川が注目した研究のひとつが、先述のロックフェラー大学の研究チームによる感染者の体内で作られる抗体の量を調べた研究だった。取材をしていた当初はプレプリント(査読前論文)だったが、のちに一流科学誌ネイチャーに掲載された。

抗体量の驚くほどの個人差は、新型コロナウイルスに感染した際の人の免疫反応には大きな個人差があることを物語っていた。もちろん、どれだけの数のウイルスに曝露したかや自然免疫の働きの強さなど、作られる抗体量にはさまざまな因子が影響を与えるものだが、遺伝的な要因も大きな可能性のひとつだ。

その後もロックフェラー大学の研究チームらは、免疫反応の個人差や遺伝的な要因が、新型コロナウイルス感染症の重症化を左右することについて、重要な報告を続けている。

長きにわたる新型コロナウイルスとの戦いにおいて、また今後も人類に襲いかかるであろう病原体との戦いにおいて、人体の免疫を司るDNAの働きの解明が重要な鍵を握ることはおそらく間違いないだろう。

一卵性双子は一緒に発症する率が高い

実際、ヒトのDNAとウイルスとの関係について調べると、一卵性双子(DNAがほぼ100%同じ双子)と二卵性双子(DNAは平均して50%同じ双子)で、感染症発症の一致率を比べると、一卵性双子のほうが高かったという報告が見つかった。一卵性双子のほうが二卵性双子よりも、双子の片方が感染症を発症すると、もう片方も発症する確率が高いということだ。これは何らかの病原体に感染したとき感染症を発症するかどうかに遺伝的な要因がかかわっていることを意味する。

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