〔PHOTO〕Gettyimages

中国の若い女性の間で「ガチャガチャ」が大ブーム…それが「異常事態」と言えるワケ

いま、中国では「ガチャガチャ」が大ブームになっている。そのブームは、中国社会の根底で起きている大きな変化を暗示しているのではないか——。『中国人のお金の使い道』(PHP新書)を上梓したジャーナリストの中島恵氏が考察する。

ガチャガチャをひたすら買い続ける

新型コロナの影響で景気後退に喘ぐ世界各国を尻目に、中国では景気が回復しつつある。中国の消費を牽引しているのは、購買力が旺盛なZ世代の若者たちだ。豊かに育った彼らが何にお金を使っているのかを取材してみると、従来の中国人像とはまったく違う、新しい傾向が見えてきた。

上海に住む会社員の女性、王さん(25歳)は、中国語で「盲盒」(マンフー)と呼ばれる「ブラインドボックス」が大好きだ。日本の「ガチャガチャ」に似た、買う前は中身が見えない箱やカプセルのことで、今、中国の若者の間で大流行している。

大好きなキャラクターを売っている「IPステーション」という自動販売機を見つけると、王さんは迷わず購入する。買っているのは高さ10センチほどのかわいい猫のフィギュアなどで、1つのシリーズ(10~12個)を集め始めたら、全部のキャラクターが揃うまで買い続けなければ気が済まない。

盲盒の自動販売機(上海)〔PHOTO〕Gettyimages
 

1つ25~70元(約370円~約1050円)程度の安いものとはいえ、際限なく買い込んでしまうため、自宅の棚はすでに数百個のフィギュアで埋め尽くされている。あまり気に入らないフィギュアだった場合は、中国のフリマアプリである「閑魚」に出品すると、すぐに買い手がつき、ときには高値になることも。そのようにして転売で得たお金や、自身の給料(約1万3000元=約20万円)を使って、また「盲盒」をひたすら買い続けるという道楽生活を送っている。

王さんに限らないが、今、中国の若者がお金をつぎ込む先は、自分の趣味だ。旅行やスポーツジム、食事などにもお金を使うが、物欲がとても強く、ブランドものだけでなく、他人から見ればガラクタに見えるようなものであっても、欲しいと思ったものには惜しみなくお金を使う。