意外と知らない…『転生したらスライムだった件』が常識を超えて「爆発的ヒット」したワケ

ラノベ業界の地殻変動を象徴する作品
飯田 一史 プロフィール

作家が自身の仕事や得意分野を作品の設定に使うことで、読者からするとユニークなものになる。

「おもしろい」とひとことに言ってもそのおもしろみの種類は多様である。

『転スラ』は引き出しが多いうえに、だんだんとおもしろさのフェーズが変化し、広がっていく流れのつくりかた、展開のさせ方が巧みなのだ。

キャラクターも、最序盤に出会う暴風竜ヴェルドラに始まり、美男子ベニマル、隠密ソウエイ、秘書シオン、巫女姫シュナ、お調子者のゴブタなど魅力的な面々が揃っており、キャラ同士を遊ばせておくだけでも楽しい。

スピンオフマンガである作画岡霧硝『転生したらスライムだった件 魔物の国の歩き方』や作画柴『転スラ日記 転生したらスライムだった件』は彼らがリムルが作った国で過ごす日常を描いているが、その掛け合いだけで十二分に読めるものになっている。

 

かつて「ドラゴンマガジン」などのライトノベル雑誌が元気だったころには、ラノベは「長編」として展開していく本編と、雑誌掲載分を元にした「短編集」という組み合わせで刊行されるのが通例だった。つまり、シリアスなストーリーにも、コミカルな方向にも展開できることが売れるラノベの条件のひとつだった。

そしてその昔、短編集が担っていた部分は今では「スピンオフマンガ」というかたちで補完されるようになっている。

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