ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。
愛くるしいタンタンですが、実は現在25歳。人間で言うと70歳代という高齢パンダ。そして今年、中国への返還が決まっています。神戸で最後の時間を過ごす、お嬢様の様子を、動物園の休園日である水曜日にお届けします。
今回は、ローズマリーとお嬢様のお話から。ローズマリーとは、料理で肉や魚の臭み消しにも使われる、香りの強いハーブ。
そんなローズマリーをもらったお嬢様。束のまま抱えて、背中を押しつけるようにゴロゴロ。その動きは、まるでネコにマタタビのよう。
いつも落ち着いているお嬢様が、なぜこんなことになっているのか。飼育員の梅元良次さんに聞いてみました。
「このローズマリーは、いまは使ってないコウコウの運動場に生えているもので、エンリッチメントとして、気分転換のために与えることがあります。普段嗅ぐことがない匂いに、興奮しているのかもしれませんね」と梅元さん。
エンリッチメントとは、環境エンリッチメントともいい、単調になりがちな飼育下の動物たちの暮らしを、飼育環境やエサの与え方などに工夫をすることにより、豊かで充実したものにしようという取り組みのこと。
英語の豊かにする(enrich)からきていて、世界中多くの動物園や水族館などで行われています。