大相撲「緊急事態宣言下での初場所開催」を安易に批判する前に

リスクとポジティブ要素を整理する
西尾 克洋 プロフィール

こうした不祥事の数々を多くの日本人が覚えている。相撲ファン以外は大相撲をあまり観なくなっているので、力士や大相撲に対するリスペクトという意識も無い。昔から不祥事自体は散発的に発生しているが、大相撲の体質的な問題や改革に言及されなかったのは、リスペクトが悪い方向で作用していたからだと言わざるを得ない。

現在では、何かが起きれば必ず悪い方に捉えられてしまう。それが大相撲の実情である。

最初から色眼鏡で見られている分、是々非々が通らず、否定のバイアスが掛かってしまうことは事実だろう。だからこそ本場所開催の是非について、リスクと開催を是とする要素を考慮しなければならないと私は思う。

〔PHOTO〕Gettyimages

相撲協会の不出来と、初場所開催の是非

ここで整理すべきは、本場所を開催するにしても、観客・力士・関係者の感染を招かずに済ませられるか、という問題である。

この点に関しては、過去に実績がある。

新型コロナウイルスが蔓延して以降、本場所は4回開催されており、そのうち3回は観客を入れての開催だが、酒類の提供を行わず、観客数を通常の約半数に絞るなどの対策により、今のところ観客への感染は確認されていない。私個人も国技館で観戦しているが、観客のマナーの良さに感銘を受けたものである。

また、本場所中、力士・関係者の間で感染が拡大することも、今まででは無かった。つまり、ここまでは、本場所開催において感染対策で実績を残しているということだ。

もちろん感染状況は過去と現在では異なるため、これまでのノウハウがそのまま通用しない可能性もあるにせよ、一定の成果が出ているということは客観的事実として評価せねばならない。

さらに、場所直前にPCR検査を実施することにより、陽性者ならびに濃厚接触者は出場しないという処置を取っている。そのため、陽性者と濃厚接触者から感染が拡大するリスクは無いということである。

 

以降の問題としては、直前のPCR検査で発症していなかった力士・関係者から陽性者が出るリスクと、場所中に感染者に接触するリスクをどうするか、ということを考慮する必要がある。

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