大相撲「緊急事態宣言下での初場所開催」を安易に批判する前に

リスクとポジティブ要素を整理する
西尾 克洋 プロフィール

考えられる理由はただ一つ

そこで、一つの疑問が生じる。

なぜ、ここまで初場所開催に批判が集まるのか?

例えば、同じく年明けのスポーツイベントとしては、新日本プロレスが東京ドームで1月4日・5日に開催されているし、全国高校サッカーも春高バレーも行われている。だが、彼らに対して開催を中止するような批判的な声は聞こえてこない。

新日本プロレスは2日間で2万人あまりを動員しており、高校サッカーでも準決勝と決勝以外は観客を入れている。春高バレーは無観客での開催だ。感染者が出た学校は試合が出来ないということだが、この点に関しては、1人の感染で部屋全体が出場できないリスクを負う大相撲とそう変わらない。

確かに、これらのスポーツイベントと大相撲の本場所開催は注目度に差がある。同じ議論が発生するところまでには至らないということは分かる。

しかし、新日本プロレスは東京ドームという規模での開催であり、高校サッカーも春高バレーも高校生の大会だ。観客の多さという点では東京ドームの方が断然リスクが高いし、これから受験などを控える高校生の感染リスクという別ベクトルのリスクも見逃せない。

つまり、これらのイベントについても、本来、開催の是非を論じるべき点があるにもかかわらず、彼らはスルーされ、大相撲だけが批判を集めているということになる。

考えられる理由はただ一つ。

相撲協会に信頼が無いからだ。

もはや説明するまでもないが、2010年前後に発生した数々の不祥事で大相撲の人気は地に落ちた。その後、力士や協会の努力もあり人気はV字回復するも、良く言えばおおらか、悪く言えば杜撰な体質は変わらなかった。

 

そして、日馬富士暴行事件から、いわゆる「貴の乱」が起き、数々の不祥事が噴出する中で、貴乃花が半ば追放されるような形で協会を去ることになった。体制は変わらず、改革は進むこともなく今に至っている。

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