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大相撲「緊急事態宣言下での初場所開催」を安易に批判する前に

リスクとポジティブ要素を整理する

初場所開催への批判が殺到している

1月10日から大相撲初場所が予定通り開催されている。

だが、年末年始で新型コロナウイルス感染者が爆破的に増加し、初場所の開催される両国国技館のある東京都では緊急事態宣言が発令されている。今回は観客を入れての開催ということもあり、観客の移動に伴う感染リスクに加えて館内での感染リスクも考慮せねばならない。

相撲関係者の間でも感染が相次いでいる。荒汐部屋、九重部屋、友綱部屋、宮城野部屋では力士の感染が発覚しており、各部屋全ての力士が出場を控える事態となった上に、何より衝撃が走ったのは横綱白鵬の感染である。

新型コロナウイルス感染を受け、初日を前に関取16人を含む65力士が休場という前代未聞の状況だ。65名の休場がいかに多いかということは、初日の開始時間が1時間遅らせて9時50分であったことからも、その影響をうかがい知ることが出来る。

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物議を醸しているのは、感染がここまで拡大しているにもかかわらず、予定通りの本場所開催、しかも観客を入れての開催ということである。声の大きな意見は概ね批判的なもので、もはや賛否両論という次元ではなく、無観客での開催や開催そのものの中止を求めるものが大多数だ。

確かに大相撲はコンタクトスポーツであり、また部屋で寝食を共にするという性格上、感染リスクが高いことは事実だ。ひとたび感染者が出ると部屋の関係者全員が濃厚接触者になる可能性が高く、事実、先の4部屋については全ての力士が出場できない事態になっている。誰かひとりが感染すると、多くの力士が影響を受けかねないというのは、大相撲ならではのリスクと言えるだろう。

また、忘れてはいけないのが、大相撲では既に1名、力士を新型コロナウイルス感染によって失っているということだ。

昨年5月、髙田川部屋所属の力士・勝武士(しょうぶし)が亡くなった。国内では初の20代での新型コロナウイルス感染による犠牲者ということ、また生前糖尿病を患っていたということもあり、基礎疾患がある他の力士たちに同様の事態が起こる可能性も考えられる。そのため力士は皆、慎重にならねばならない。

 

だから開催を懸念する声が挙がること自体は致し方ない。とはいえ、大相撲に於ける感染リスクの相対的な高さは、私自身各所で記事にしているが、広く認識されているという手応えは今のところない。というのも、本場所開催を否定する理由として、これらのリスクに言及する方がほとんど見られないからだ。

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