「医療崩壊」を自ら招いた菅首相と厚労省、その知られざる「本当の失態」

医療現場からも不信感がつのる
財部 誠一 プロフィール

阿保医師はコロナウイルスのふるまいを冷静に吟味すると、日本の臨床現場ではこともなげに対応してしかるべき感染症であり、疾患管理のプロ集団であるべき医師会のトップがSOSの声を上げるだけで自らの改革に目を向けていないことこそ問題だと考えている。

しかし足元では緊急事態宣言が発出されるほど「医療崩壊」への危機感が高まっている。その原因はどこにあるのか。

「現状の感染症法下で指定感染症扱いを維持していることが主因で、医療資源の活用が著しく限定されていることから、医療崩壊を自ら招いているようにしか見えません。国民全体を落ち着かせること、医療インフラが正常に機能できるように制度設定すること、が行政の喫緊の課題と感じます」

阿保医師は医療崩壊危機の元凶は厚労省が指定感染症扱いを続けていることだと断言する。

 

「指定感染症」の解除を検討すべきだった

新型コロナは、2020年1月28日の時点で「2類相当」の指定感染症とされていた。これは結核やSARS(重症急性呼吸器症候群)などと同等だ。さらに同年2月14日には「1類相当」に格上げされた。エボラ出血熱やペストなどと同等である。そのため、感染者は全員が指定医療機関に隔離入院することが原則となった。また医療機関には保健所へ逐一報告する義務が生じた。つまり、いっさい民間の医療機関の自由にはさせないということだ。だから昨年4月の緊急事態宣言当時、特定の病院のベッドが無症状の陽性者で埋め尽くされ、ほんとうに収容すべき患者を収容できない「医療崩壊」の危機に直面した。政府がホテルを借り上げ、無症状者を移したのは、その危機を回避するためだ。また、報告義務による医療機関と保健所の事務手続きの煩雑さ、疲弊も相当なものだった。

もちろん、当初は未知のウイルスということもあり、できるかぎり厳重に警戒するのは当然であっただろう。しかし昨年春夏の経験を通じて、過剰なまでに怯えるべきものではないことがわかってきた段階で「指定感染症」の解除を検討すべきだったのだ。冬季に感染が広がることは容易に予測できたと阿保医師はいう。

「インフルエンザも年によって差はあるものの12月から急激に立ち上がり1月末から2月のピーク時にかけて発症数は3〜5倍程度になります。コロナも同様な振る舞いをすると我々臨床医は予測していました」

つまりGoTo停止や緊急事態宣言発出が遅くなったから感染爆発したなどというのは、いいがかりのようなものである。それは厳格なロックダウンをしても冬季には感染拡大に歯止めがかからぬ欧米をみても明らかだ。

風邪やインフルエンザをこの世の中から消し去れないのと一緒で、最重要なことは重症化しやすい高齢者等の医療体制の充実をはかることだ。1月10日現在、コロナ死者数は英国の8万1431人に対して日本は3996人と、20分の1である。どう転んでも日本で医療崩壊は起こりえない。ところが現状、コロナ対応病院はひっ迫し、特定の医療従事者にばかりとんでもない負担がかかっている。その元凶は厚労省だ。

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