医療崩壊を防ぐために…3月までに使える「9.3兆円」活用が日本を救う

重要なのは「アメとムチ」のバランス
髙橋 洋一 プロフィール

アメとムチの使い分けが重要

今国会に提出されるコロナ特措法はどうか。今回の緊急事態宣言は、従来のコロナ特措法に基づいて行われるので、今後のことを見据えた措置だ。

まず欧米の例を見よう。欧米は、コロナによる感染拡大を防ぐために、ロックダウン(都市封鎖)が行われる。その規制内容は、個人に対する外出禁止である。外出禁止は人の動きを強制的に抑えるので、私権制限である。

 

強制力の担保として、罰金もある。フランスでは、外出には自己申告の証明書の携帯の義務があり、違反には最大135ユーロ(1.6万円)の罰金がある。イタリアも、理由を記した証明書の携帯が義務であり、違反者には罰金がある。

イギリスも同様だ。アメリカでは、私権制限の権限は州知事が持っている。個人に外出禁止を命じ、それに違反する者に対し罰金があるのは、欧州と似ている。なお、欧米で、個人に対し私権制限とその強制力を担保する罰金を科すが、補償は基本的にはない。もっとも、一般の財政支出の中で、個人へ給付金を配布する国もある。

日本の場合には、コロナ特措法改正では、ここまでの私権制限はない。個人ではなく、事業者に対する休業や営業時間短縮などの要請・指示であり、それに伴う助成金などの財政支援である。

欧米の個人への私権制限と罰金がセットになっていることを考えると、日本で、飲食などの一部事業者に対する私権制限(営業の自由の制限)と事業者の財政支援と罰則がセットになっているのは、基本的にはやむをえないと考える。

もちろん、私権制限といっても、欧米のような個人の外出禁止まではまだ政治的にできないだろうから、一部事業者に対する休業や営業時間短縮などの要請・指示から行うのもやむを得ない。

その際、強制力を担保するために、アメ(財政支援)とムチ(罰則)がある。アメとムチの差が大きいほど、対策の実効性が大きいと思われるので、ムチは、海外の事例を参考にしながら罪刑法定主義から必要最小限度とし、一罰百戒的に運用されるのがいいだろう。

アメはそのときの政権による政治判断に委ねて、対策の実効性が最大になるように設定するのがベターと筆者は考える。いずれにしても、アメとムチのバランスが重要だ。