70歳以上の約9割が発症…白内障の名医が模索した末に辿り着いた「新手術」

実際に手術を受けてみて体感したこと

白内障手術と「幸福」の関係

「白内障の手術を受けた人は、手術を受ける前に比べて主観的幸福感が有意に高くなる」――2020年10月、そんなデータが学術雑誌『Scientific Reports』で報告され、話題になった。主観的幸福感とは、どのくらい幸せかを本人の主観をもとに測るもの。

慶應義塾大学医学部眼科の根岸一乃氏らによると、慶應義塾大学病院および複数の関連施設で白内障手術を受けた患者中調査に協力してくれた247人では、視力関連指標が手術後に改善していたことに加えて、主観的幸福感が手術前の4.6±0.7から手術後は4.8±0.7になり、有意な上昇が認められたという。なお、手術は全て「超音波乳化吸引術」という標準的な方法で行われ、手術に対する満足度は5点満点中4.2±0.9だった。

これらの結果をもとに著者らは、「白内障手術は視機能だけでなく、患者の主観的幸福感も改善する可能性があることが示された。その主観的幸福感は手術に対する満足度と関連している」などと結論付けている。

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白内障は、眼球内でカメラのレンズの役割を果たす「水晶体」が劣化して濁り、光をクリアーに通さなくなる目の疾患だ。40代から発症し、70代ではほぼ90%、80代になると白内障ではない人を見つけるほうが難しい。世界的に見れば失明原因のトップだが、日本では最適な時期に適切な手術をすれば確実に治せるため、年間に、保険適用の手術では最も多い130万件以上の手術が行われている。

冒頭のデータからは、日本の白内障手術のレベルの高さを読み取ることができるが、もしもこの調査が、赤星隆幸医師(秋葉原白内障クリニック最高顧問)が執刀した患者のみを対象に行われていたとしたら、満足度・幸福感共、さらに満点に近づいたに違いない。

なぜなら、「フェイコ・プレチョップ法」(濁って硬くなった水晶体の核を、あらかじめ、超音波で乳化する前に砕いておく術式)という新しい手術を開発し、それまでの常識を刷新。従来眼球を1センチも切開して行っていた手術をわずか1.8ミリの切開でできるようにし、片目20分以上かかっていた時間を3~4分に短縮。目への負担を最小限にすることを追求した結果、点眼麻酔、日帰り、手術による乱視発生を解消、早期の視力回復等を可能にしたのが赤星医師だからだ。