Photo by NoonBuSin/iStock

洗濯機「縦型」と「ドラム型」の違いとは? 家電から見える日本と欧米の文化の差

じつは新しくない「ドラム型」洗濯機
新しい家電の代名詞的存在である「ドラム型」洗濯機。日本ではつい最近登場した最新家電のイメージがありますが、じつは欧米では古くから「ドラム型」が主流となっていました。なぜ日本では普及しなかったのか? 「縦型」との違いはどこにあるのか? 『すごい家電』の著者でもある西田宗千佳さんに解説していただきました。

約100年前に登場した電気洗濯機

現代の日常生活に必要不可欠な家電の代表格が「洗濯機」です。汚れた衣服を手で洗うのは古来、負担の大きい家事労働の1つであったため、簡便化の試みとして、電気が普及する以前から、さまざまな機器が作られてきました。

「電気洗濯機」が登場したのは1908年のこと。まずは、家庭への電気の普及が早かったアメリカで広がりました。アメリカで作られた洗濯機が輸入される形で、日本でも第二次世界大戦前から使われていましたが、本格的な普及は1950年代に入ってから始まりました。

現在の電気洗濯機は主に、「縦型(渦巻き式)」と「ドラム型」に分けられます。旧来型の技術で主流を占めているのが縦型、新技術として台頭してきたのがドラム型、ととらえている方も多いのではないでしょうか。

しかし実際には、縦型/ドラム型の違いは、技術の問題というよりも、「その国の生活スタイル」で決まっている部分が大きいのです。日本では約8割の洗濯機が縦型で、ドラム型は2割にとどまっています。

対照的にアメリカやヨーロッパでは、ほとんどの洗濯機がドラム型なのです。彼我の違いを生んでいる理由はなんでしょうか?

「縦型」と「ドラム型」の違いは?

その疑問に答える前に、まずは縦型とドラム型の相違点を確認しておきましょう。

縦型は、バケツ状の形をした洗濯槽が縦に配置され、その中で洗濯物が、大量の水とともに回ることで洗濯が行われます。水が渦を巻くことから「渦巻き式」ともよばれます。激しい水の流れと、その際に衣服同士がこすれることで、水の中に汚れを落とすしくみです。縦型はそのしくみ上、ドラム型以上に大量の水を必要とします。

一方のドラム型は、洗濯槽が横に配置され、回転します。その際、水と洗剤を含んだ洗濯物はいったん上部に持ち上げられ、洗濯槽の底面に叩きつけられます。

両者は、ともに洗濯槽を回転させるものではありますが、洗濯物から汚れを取り去る方法はまったく異なるのです。

なぜ海外では「ドラム式」が普及したのか?

それでは、日本と海外で普及した洗濯機のタイプが異なる理由はなんでしょうか?

第一に、サイズが挙げられます。「持ち上げて落とす」しくみであることから、ドラム型はある程度のドラム径を必要とします。さらに、洗濯物が槽の中で自由に動かなくてはいけないので、ドラムいっぱいに詰め込むわけにもいきません。多くの洗濯物を洗うには、それだけ大きな洗濯機が必要になります。これとは対照的に、縦型はドラム型ほどスペースを要しません。

第二に、水の問題があります。欧米の水はカルシウムやマグネシウムの含有量の多い「硬水」が中心で、日本はそれらミネラル分の含有量が少ない「軟水」が一般的です。硬水は石けんとは相性が悪い傾向にあるため、欧米の洗濯洗剤には水を軟水化する薬剤が入っています。さらに、汚れ落ちをよくするため、温水を使って洗うのが一般的です。

関連記事