自分の暮らしも豊かになって、かつ環境や社会もよくできるお金の使い方。素敵な響きだけれど、どうしたらそんなお金との付き合いができるんだろう?「やさしいお金の流れ」をつくろうと行動する専門家にヒントを聞きました。

●教えてくれた人……
新井和宏さん

あらい・かずひろ/外資系資産運用会社で働く当時、金融のあり方に疑問を抱き、仲間と鎌倉投信を創業。投資信託「結い2101」の運用責任者として活躍。退職後の2018年に、共感資本社会の実現を目指して、株式会社eumo(ユーモ)を設立。
eumo.co.jp

-AD-

そのお金、誰に払っていますか?

あるときは街中のコンビニで。また、あるときはスマホの画面上で。私たちは日に何度もお金を払い、物を購入します。そのお金が、最終的に誰のもとに行き着くのか、あなたは考えたことがありますか? 例えば洋服なら、一方は環境にも従業員にもやさしいメーカーで、他方は在庫の大量廃棄や劣悪な労働環境などが問題視されるメーカーだったならば。あなたがお金を出して応援したいのは、どちらの企業でしょうか?

私たちがお金を払う行為は「どんな社会にしたいか」を選択し、一票を投じることに等しいのです。環境にも人にもやさしい「いい会社」が多くの票を集めれば、世界の経済も社会も豊かになります。応援すればするほど、暮らしやすい社会となってひとりひとりに還元されるのです。誰も犠牲にしない持続可能なお金の流れは、個人の応援から始まります。何を選択するかは自分次第。ならば、しあわせになれる関わり方を選びませんか?

「円=縁」。お金から始まる豊かな関係

金の切れ目が縁の切れ目。このことわざが示すように、元来お金には関係性を「切る」性質があります。「決済」という言葉も同じ。お金を払った瞬間に「ご縁」は解消されてしまう。そうではなくて、むしろ「お金の切れ目が縁の始まり」になれば、もっと楽しくなると思いませんか?

農家や漁師がインターネット上に直接出品する「ポケットマルシェ」では、すでにそれが始まっています。写真付きのコメント欄で、届いた野菜の感想を直接伝えられる、顔の見えるやりとり。リピーターにオマケの野菜を入れはじめると、相手もまたお返しの気持ちで何度も購入するようになる、そんな健全な「えこひいき」。お金を通して、生産者と消費者が強く結びつく豊かな関係は、便利さと効率をやみくもに追求する社会が失ったものでしょう。ご縁をつくるお金の使い方は、自らをしあわせにします。お金で割り切って面倒を排除した、希薄な関係からは何も生まれないのです。