1月8日朝、東京・品川の通勤風景〔PHOTO〕Gettyimages

自粛とステイホームがもはや「正義」ではないこれだけの理由

再度の緊急事態宣言への「傾向と対策」

なぜ飲食店ばかりが標的になるのか

昨年末から15時開店になっていた都内のバーで、この原稿を直している。客は私だけ。どう考えても「密」にはほど遠く、誰からも不謹慎と言われる覚えはない。

菅義偉・現首相のモットーが「自分でできることはまず、自分でやってみる」(『政治家の覚悟』 後記)だということは、広く知られている。しかし彼の政権には、私がふだん世話になるお店を助ける気がないらしい。だから文字どおり、「自分でできることをまず、自分でやりに」来たわけだ。

1月8日から首都圏(1都3県)では再度、日本政府による新型コロナ対策のための緊急事態宣言が適用されている。しかし2020年4~5月の「最初の緊急事態宣言」と比べても、これはおかしなことばかりだ。

緊急事態宣言発出の会見をする菅首相と尾身茂氏〔PHOTO〕Gettyimages
 

昨春のコロナ第一波の際、東京都が記録した1日の感染者数のピークは256人である(4月9日)。一方で、同年12月31日には1337人の感染者が確認され、年始早々に再度の緊急事態宣言となったわけだが、しかし当初の報道以来その内容は、圧倒的に「飲食店の時短」に偏っていた。感染者の数は昨春よりはるかに多いが、対策の規模は最小限に絞り、そのかわり徹底的に外食を規制するのが有効だという判断らしい。

むろん、納得できる説明があるのなら別である。しかし決定の背景にある、昨年末からのコロナ分科会の認識は、「東京都では感染者のうち感染経路が不明な人の割合が6割に上り、その多くは飲食店での感染と考えられる」といった程度だという。感染経路の6割が飲食店経由だと「立証された」のなら、優先してそのルートを塞ぐことにも一定の妥当性はあろうが、ぶっちゃけた話が憶測を根拠としているにすぎない。

さらには、こうした言い方で「行動規制のターゲットにすべきは飲食店だ」といった立論がなされること自体が、根本的な疑問を惹起する。そもそも、ある病気に関して「感染経路が不明」であるのは、悪いことなのだろうか。

どこで誰からうつされた病気であろうが、症状が出たら病院に行って治療が受けられる。そうした標準的な医療をコロナ感染者に対しても適用可能にすることが、行政の仕事のはずである。「感染経路がたどれないと、仕事ができません」などという発想は、他の病気では聞いたことがない。