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7つの段階で進む「米中新冷戦」…覇権のはざまを日本が泳ぎぬくには

アフター・コロナの時代に
新型コロナウイルス感染症などの追い風を受けてますます覇権国化する中国と、それを迎え撃つアメリカ。世界は「米中新冷戦」の時代に突入し、米中両国は7つの局面で争いを繰り広げている。激突する二大国の狭間に立たされる日本は、生き抜くために何をすればいいのか。
近藤大介氏による現代新書の新刊『ファクトで読む 米中新冷戦とアフター・コロナ』から、「はじめに」を特別公開する。
 

米中新冷戦「7つ」の局面

2021年、新型コロナウイルスに揺れた一年を経て、アフター・コロナの時代が幕を開けました。本書は、日本を取り巻く東アジア情勢の取材・研究を30年以上にわたって行ってきた私が、アフター・コロナ時代の日本に関わる二つのテーマについて書きました。

一つ目のテーマは、中国式の社会主義はこの先、果たして生き残れるのかということです。私は習近平氏が中国共産党総書記に就任した2012年11月の第18回中国共産党大会を、北京の人民大会堂で取材しました。以後、現在まで8年以上にわたり、習近平総書記の公開された活動や演説などは、ほぼすべてフォローしてきました。

そんな立場から、現在の中国式の社会主義が生存できるかという大命題を、「親中」や「反中」という感情ではなく、ファクトで読み解きました。これが第1章です。

1月20日、アメリカでは、ジョー・バイデン政権が発足します。前任のドナルド・トランプ政権の時代、「米中新冷戦」に突入したと言われました。中国側から見れば米中新冷戦は、7つの段階で進んでいきます。それは、1貿易・2技術・3人権・4金融・5疫病・6外交・7軍事です。これらは、一段階ずつ進むのではなく、互いに複雑に絡み合いながら、重層的に展開していきます。

バイデン新大統領とハリス新副大統領(photo by gettyimages)

そんな中、中国は、「アメリカとの長期的かつ全面的な対立は不可避」と見切っています。「建国の父」毛沢東主席を崇拝してやまない習近平主席が説くのは、毛主席が日中戦争最中の1938年に唱えた『持久戦論』です。当時、アジア最強を誇った日本軍に勝つには、戦略防御・反攻準備・戦略反攻という3段階で、長期戦に持ち込んで迎え撃つしかないというのが毛主席の考えでした。

同様に習近平政権も、アメリカとの持久戦を覚悟しながら、バイデン新政権と対峙していこうとしているのです。そこには、「時間は中国に味方する」という発想があります。遅くとも10年後には中国が世界一の経済大国になる見込みです

20世紀後半を通じて行われた東西冷戦は、周知のように、社会主義陣営を率いたソ連が1991年に崩壊して幕を閉じました。同様に、21世紀の米中新冷戦も、社会主義の中国が敗北して終わるに違いないとの観測が、日本では主流に見受けられます。

果たして、本当にそうでしょうか? 普段、ファクトで米中を俯瞰している私からすると、話はそう単純なものではありません。具体的には、主に以下の3つの事由によります。

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