ロトサウルスの想像図 Illustration by Arthur Dorety/Stocktrek Images/Gettyimages

恐竜だけではなかった!背中に「帆」を持つさまざまな古生物たち

謎に包まれた「帆かけ竜」
好評連載「恐竜大陸をゆく」。今回は背中に「帆」を持った古生物について紹介していただきます。「帆」は恐竜や単弓類の一部にも見られますが、実は似た外見を持つ生き物が、別の系統でも存在していたというのです。

恐竜の先輩格、三畳紀の主竜類たち

いわゆる恐竜時代は、中生代の三畳紀(約2億5200万年前?~約2億130万年前)・ジュラ紀(~約1億4500万年前)・白亜紀(~約6600万年前)に相当する。

もっとも、恐竜があらわれはじめたのは三畳紀の中期ごろからであり、その後も恐竜が地上の主役になるまではしばらく時間がかかった。三畳紀の多くの時期で繁栄していた地上の生き物は、ワニの仲間のクルロタルシ類をはじめとした(恐竜以外の)主竜類である。

各種の主竜類は、恐竜と近縁だが恐竜ではない。がっしりした体格に大きな口、ウロコに覆われた恐ろしげな外見を持つものも多い。近縁の研究によって羽毛に覆われた種が多いことが明らかになった恐竜と比べても、ある意味ではよほど、一昔前のステレオタイプな恐竜のイメージに近い「巨大爬虫類」たちである。

だが、三畳紀末に大量絶滅が発生し、ワニを除くクルロタルシ類をはじめ、さまざまな主竜類が姿を消した。結果、次に訪れるジュラ紀の地上は、完全に恐竜の天下となったわけである。

……と、前振りが長くなった。恐竜の先輩格である三畳紀の主竜類たちについても、中国では化石が見つかっている。なかでも今回は、背中に帆を持っていたとみられるユニークな形態のポポサウロイド科の2種類について紹介しよう。いずれもかなり早期に化石が発見されていたが、近年になり見直しが進んでいる生き物たちである。

ペー族の里で見つかった謎の生物

まず紹介するのが、ロトサウルス・アデンタス(Lotosaurus adentus:無歯芙蓉龍)だ。原始的な主竜類であり、かつてはラウイスクス科に分類されることが多かったが(たとえば福井恐竜博物館のホームページでも「ラウイスクス科」となっている)、近年はポポサウロイド科に含める考えが強い。

このポポサウロイド科は、背骨が縦に長く伸びており、さながら帆のようになっている特徴がある。ロトサウルスもその例にもれず、骨格を見る限りはかなり縦に長い奇妙な体型をしていたようだ。

ロトサウルスの復元図 Illustration by Corey Ford/Stocktrek Images/Gettyimages

体長はおよそ2.5~3メートル、体高が1メートルである。最新の論文では中期三畳紀後期(ラディニアン)の、約2億3800万年前の生き物だったと推定されている。

ロトサウルスの発見は、中国の古生物研究がまだ黎明期にあった1970年だ。湖南省桑植県芙蓉橋鄉芙蓉橋公社(地名は当時)で村人が見つけ、湖南省405地質調査隊が化石を確認。その後、北京の中国古脊椎動物・古人類研究所の張法奎(Fa-kui Zhang)・邱鑄鼎(Qiu Zhuding)らの学者が現地に向かい、3ヵ月にをかけて3体の化石を掘り出した。

なお、桑植県芙蓉橋村(現在地名)は景勝地として有名な張家界にほど近い、山地に住む少数民族ペー族(白族)の里だ。中国でも有数のペー族文化が保存された土地として知られている。

関連記事