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「対北ビラ禁止法」で世界を敵に回した韓国・文在寅大統領の人権感覚

元「人権弁護士」のはずなのに…

「対北ビラ禁止法」の波紋

去年の12月、韓国の国会で与党単独で処理された「対北ビラ禁止法」について、人権団体だけでなく米議会までが非難に乗り出し、波紋が広がっている。

米議会は、今年1月中に対北朝鮮ビラ禁止法に対する聴聞会を開催することを示唆しており、韓国政府や与党は「内政干渉」だとして反発するなど、米韓間の対立がエスカレート。元「人権弁護士」の文在寅(ムン・ジェイン)大統領や韓国政府の人権意識が、米韓間の新たな懸案として浮上しているのだ。

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「対北ビラ禁止法」とは、ビラやUSBなどの情報を北朝鮮に届ければ、3年以下の懲役、または3000万ウォン以下の罰金刑に処するというのが骨子で、正式名称は「南北関係発展法改正案」だ。

6月30日に法案が発議された後、12月14日に国会可決 → 22日に国務会議の議決(閣議決定) → 24日に大統領裁可 → 30日に公表と、法案発議から立法までが一気呵成に進められた。

昨年6月4日、北朝鮮の金汝貞(キム・ヨジョン)第1副部長は『労働新聞』を通じて、脱北者団体のビラ散布を強く非難しながら、文在寅政権に向けて、「阻止する法律でも作って、不始末が起きないようお仕置きをしっかりしなければならない」「南朝鮮当局がこれを放置すれば、遠からず最悪の局面を迎える」と警告した。

韓国統一部は、汝貞氏の談話が発表された約4時間後に緊急会見を開き、「対北ビラ禁止法を準備中」と公表する一方、ビラ散布を主導した脱北者団体や市民団体の設立許可を取り消すなど、公権力を総動員して対応に出た。

 

しかし、北朝鮮は板門店共同連絡事務所を爆破することで警告どおりの行動に突入。切羽詰まった文政権は、外交通商部委員長の宋永吉(ソン・ヨンギル)共に民主党議員の代表の発議を皮切りに、約6ヵ月間で民間団体の対北ビラを禁止するための法的装置を一瀉千里に進めたのだった。