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書類ねじ曲げてでも企業の農地取得阻止、内閣府の規制緩和姿勢が露呈

養父市問題で規制官庁に同調するだけ

養父市長の怒りも……

新型コロナウイルス対策で後手後手に回っていると批判され、支持率の低下が止まらない菅義偉内閣。2020年末に当欄で、菅内閣の改革姿勢が本物かどうかを占う試金石として取り上げた「養父市問題」はその後、どうなったのだろうか。

まずは簡単に経緯を振り返ってみよう。

12月21日に首相官邸で開かれた「国家戦略特別区域諮問会議」と「規制改革推進会議の議長座長」の合同会議で、「養父市問題」について坂本哲志・内閣府特命担当大臣と、河野太郎・行政改革担当大臣や民間人議員の八田達夫・大阪大学名誉教授らが「激突」。菅首相自らが割って入って「預かり」となった。

養父市問題というのは、特区に指定されている兵庫県養父市で導入されている「一般企業の農地取得」の5年間の「特例」期限が2021年8月末で切れるので、その扱いをどうするかという問題。

特区の制度では、特例が成果を上げた場合は全国レベルで規制を緩和する「全国展開」を行うことになっている。ところが内閣府の事務方が出してきた答えは「特例のまま継続」し「全国展開はしない」というもの。これに改革派が噛み付いた、というわけだ。

その後、取材してみると、年末の会議に向けて水面下でもバトルが繰り広げられていたことが分かった。

会議には養父市の広瀬栄市長が「養父市の規制改革の拡大に向けて」というA4版1枚の「手紙」を提出していた。政府の特区諮問会議のホームページにも掲載されている。ところがこの手紙を巡って、内閣府の事務方と広瀬市長の間で一悶着あったのだという。関係者から入手した広瀬市長が出した手紙の「オリジナル」にはこんなくだりがある。

 

「こうした中で、『本日の会議に是非とも出席させて頂き、私自身の口から、養父市の成功を直接説明させて頂きたい』と内閣府に強く申し入れたのですが、断られてしまいました。以前は、同志として、身体を張って一緒に戦ってくれた内閣府が、この3年ほどは、単に規制官庁に同調するだけになってしまっていることは、とても残念でなりません」

広瀬市長の内閣府に対する激しい怒りが伝わってくる。