トランプがいまだ「敗北宣言」をしない「シンプルな理由」

大統領選の結末やいかに?
木村 朗 プロフィール

大統領選の結末

これまでトランプ大統領と主流メディア・大手IT企業(SNS)との対立・摩擦などを見てきたが、いま米国内で行われているのは、単なる不正選挙をめぐる「共和党(トランプ)」vs「民主党(バイデン)」ではない。

最近のホワイトハウスの動きをめぐる報道で私たちが垣間見たように、現在進行中の歴史的大事件には、トランプ政権に対する「ディープ・ステート」による「クーデター(米国版カラー革命)」であり、「グローバリスト(エスタブリッシュメント)」vs「反グローバリスト(反エスタブリッシュメント)」という本質的な側面・構図があると言ってよい。

このトランプ大統領と「ディープ・ステート」との暗闘は、前回の大統領選挙から今日までかたちを変えながら一貫して続いており、今後はトランプ大統領の決断次第で、「オバマ・ゲート」、「ヒラリー・ゲート(メール事件とベンガジ事件、エプスタイン事件の関連も含む)」、「ハンター・ゲート(バイデン氏の次男の「ウクライナ・ゲート」&「チャイナ・ゲート」疑惑)」などの秘密解除と真相解明につながる可能性もある。

(西森マリー著『ディープ・ステイトの真実 日本人が絶対知らない! アメリカ大統領選の闇 』秀和システム、副島隆彦・ベンジャミン・フルフォード著『今、アメリカで起きている本当のこと 大統領選"不正選挙"から米国内戦へ 』秀和システム、副島隆彦著『 Lock Her Up ! ロック ハー アップ ヒラリーを逮捕、投獄せよ』光文社などを参照)

〔PHOTO〕gettyimages

しかし、ここで大きな懸念があるのは、トランプ陣営の主だった人々(シドニー・パウエル弁護士、リン・ウッド弁護士、マイク・ポンペイオ国務長官、ジョン・クリトリフ国家情報長官など)が、今回の大統領選挙に外国勢力が関わっているとして、中国(共産党)、イラン、ロシア、ベネズエラ、セルビアなどを名指して非難していることである。

特に中国(共産党)に対しては、「米国にとっての最大の脅威」「共産主義は民主主義の敵」として全面対決する姿勢を示しており、今後あらゆる分野・側面で対中敵視政策が取られ、これまでの米中対決がさらにエスカレートして本格的な「米中新冷戦」となる明らかな兆候が見え始めている。

すでにトランプ大統領が、大統領選挙の投票日であった11月3日以降、中国に対するさまざまな制裁措置(中国要人の資産凍結・入国禁止、中国企業との取引禁止や一部の中国人研究者・留学生の追放など)を発動しているだけでなく、ポンペイオ国務長官も11月3日以前にも言及していた「中国の国家転覆(体制転換)」の呼びかけをさらに拡大・強化しているのだ。

このままでは、米中対決は単なる経済・貿易・金融分野だけでなく、軍事・安全保障分野での「全面的な戦争」(サイバー戦争・宇宙戦争を含む)に突入しかねない状況となっている。

このような中国に対しての一切の妥協・譲歩を排除する米国の強硬姿勢は、近い将来において米中間での軍事的な攻撃・衝突を招きかねない危険性を秘めている。

それはまた、かつての米ソ冷戦時代と同じように、今後長期にわたって国際社会を強制的に分裂・二極化させる可能性が高く、到底容認することはできない。

こうしたトランプ陣営の余りにも前のめりな好戦的な姿勢に、悪しき「米国例外主義」と単なる反共主義というイデオロギー的対立・倒錯を超えた宗教的熱狂・憎悪に似た極めて危うい気配を感じているのは私だけではないのではないか。

また少し気がかりなのは、トランプ大統領の暗殺というもうひと一つのシナリオである。これまでの米国史を考えるならばあながちあり得ない事態とは言えないだろう(大原浩「暗殺率約10%! 米国大統領という危険な職業の実態を考える」)。

 

トランプ大統領が支持者にワシントンに集まることを呼び掛けている1月6日まではいつ何が起きても不思議ではない状況となっている。というのは、トランプ陣営がその1月6日にこれまでに出されていない証拠開示と驚くべき秘密解除を行うと宣言しているからである。

今後予測できない出来事が起きて、これまでの流れが一変するかもしれない。まさに嵐の前の不気味な静けさである。最近起きた米国政府関連機関へのサイバー攻撃(バイデン陣営はこれをロシアの仕業であることを強調したが、トランプ大統領はその可能性は低いと否定している)とテネシー州ナッシュビルでの爆発事件は、その不気味な前兆であろう。

1月6日以降、米大統領選挙の決着次第では、全米での大規模な暴動の発生、1807年の反叛乱法に基づく戒厳令の発令、軍事法廷(FISA)開廷による不正選挙関係者の断罪などが予想されている。こうした米国内での混乱・地殻変動は、新しい大統領の就任式が予定されている1月20日以降も続く可能性もある。

これまで見てきたように、今追い詰められているのは、トランプ陣営ではなくバイデン陣営であることだけは確かであろう。今後の「憲法と民主主義を守る戦い」の帰趨は、国防総省・軍部がほぼ一枚岩でトランプ大統領に忠誠を誓っているかが一つの重要なカギとなる。

この点で、国防総省が引き続きバイデン・チームへの移行手続きを停止中とのトランプ大統領との強い絆を裏付ける情報もある。

とするならば、最後の決着は、今回の大統領選挙で不正行為があったと考え、その真相究明を願っているという圧倒的多数の民衆のトランプ大統領への支持の強さいかんにかかっていることは間違いない。

そうした状況の中で、トランプ大統領は12月28日、「1月6日にワシントンDCで会おう。このチャンスを見逃すな。追って詳細を連絡する」とツイートで1月6日に予定されている抗議運動に参加するよう支持者に呼びかけている。

いずれにしても、わたしたちは毎日のように揺れ動く米国での緊迫した情勢(新たなテロの発生や内戦の勃発、中国やイランとの軍事衝突・戦争開始を含む)から当分の間は目が離せそうにない。

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