現役東大生が解説!エベレストの標高が更新された理由とその測定技術

世界一高い山の本当の高さは?
東京大学CAST プロフィール

三角測量とGNSSの合わせ技でエベレストに挑む

最新技術を利用して、1999年にアメリカが、2005年に中国がエベレストの標高の測定を行いましたが、いずれも誤差の問題が指摘されていました。

そして今回、古くからある三角測量と最新技術であるGNSSの合わせ技により、エベレストの標高を本格的に測り直そうということで、中国とネパールが立ち上がったのです。

2019年5月、ネパールのチームがエベレスト山頂にGPS装置を設置し、またレーダーを使って岩の上の雪の深さを測りました。さらに、別のメンバーが地上からセオドライトを使った三角測量を行いました。

そして2020年春にも中国が自国のGNSSである「北斗衛星網」を用いた計測を行いました。最終的に両国が8848.86mという合意に至り、今回の発表となったのです。

実は、今回の計測では「標高の基準をどうやって決めるか」ということも重要で、それには「ジオイド」という概念が関わっているのですが……ここでは説明しきれないので、気になる方は調べてみてください!

ジオイドとは?
ジオイドは、地球の重力による位置エネルギーの等しい面(重力の等ポテンシャル面)の1つであり、地球全体の平均海面に最もよく整合するものとして定義されています。
出典:国土地理院WEBサイト(https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/grageo_geoid.html)

今回の発表から直ちに世界的にこの数値を採用するわけではなく、これからこの測定結果が本当に正しいのか検証しなければなりません。依然として誤差が残っている可能性もあります。

今回の調査に携わったネパールのチームの代表、キムラル・ガウタム氏は、どんなに正確を期しても少しの誤差は避けられないと語っています。しかし、エベレストの標高を測るという取り組みは、エベレスト周辺の地面の動きを確かめるという地質学的な点や、最新の計測技術を世界に示すという点で大きな意義があります。

常に動き続けているプレートのダイナミックさや、「標高の測定」に関わる科学の歩みを少しでも理解していただけたら幸いです。

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