現役東大生が解説!エベレストの標高が更新された理由とその測定技術

世界一高い山の本当の高さは?
東京大学CAST プロフィール

エベレスト標高測定の歴史

エベレストが世界最高峰の山であることがわかったのは、1850年頃のことです。インドの測量技師のラーダナート・シクダールという人物は、「三角測量」という手法により当時「ピーク15」と呼ばれていたエベレストの標高を測定し、8840mという結果を出しました。

三角測量とは、数学の図形の知識を用いて、2つの地点の間の距離を測る方法です。山の標高を測る場合、頂上から地面まで下ろした線分の長さを測るということになりますね。

地上のある一点(水準点)を決めて、山の頂上、頂上の真下の三点を結べば、直角三角形ができます。水準点をA、山の頂上をB、頂上の真下をCとしましょう。このとき、辺ACの長さと角BACの大きさを測れば、高校数学で学んだ三角比の知識を使って辺BCの長さ、つまり標高を求めることができます。当時の限られた技術で8840mという現在の値に近い標高を求められたのは、驚くべきことですよね。

三角測量の概念図 Illustration by nazarkru/iStock

その約100年後の1954年、インドの調査グループは、「セオドライト」という二点の間の角度を精密に測ることができる装置を用いて、再び三角測量による測定を行いました。その結果、現在よく知られているエベレストの標高である8848mという値が得られました。

古代から現代に至るまで、三角測量は主要な測量方法として世界中で用いられてきました。しかし、1980年代、人工衛星の登場により、測地学は大きな転換点を迎えます。

もはや現代では当たり前の技術となったGNSS(全地球衛星航法システム※)により、世界各地の山の標高が測り直され始めました。日本でも、2014年に87ヵ所の山の標高が更新されました。

(※ GPSという言葉の方がお馴染みかもしれませんが、人工衛星による測量の技術は一般的にGNSSと呼ばれており、GPSはアメリカ合衆国が運用しているGNSSの固有名詞です。ちなみに、日本にも「みちびき」という名前のGNSSがあり、国内の測量に役立っています)

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