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また緊急事態…「ゼロ・コロナ戦略」を取らなかった日本政府の「根本的な大失敗」

抑え込みに成功した国はこうやっている

再びの緊急事態宣言。が、場当たり的な対策である印象は拭えない。日本政府の対策には、根本的な方向転換が必要なのではないか。ハーバード大学公衆衛生大学院などで学び、現在は群星沖縄臨床研修センター長を務める徳田安春氏に、ジャーナリストの山岡淳一郎氏が聞いた。

いつまで同じことをくりかえすのか

一都三県に新型コロナ対策の切り札ともいえる「緊急事態宣言」が再発出されることとなった。昨年4月の宣言発出に比べれば、学校の一斉休校は回避され、飲食店の夜間営業の時短と外出自粛に的を絞った限定的なものになりそうだが、「いつまで同じことをくりかえすのだろう」と多くの国民は先行きに不安を募らせている。

こうした状況に直面して感じるのは、政府の基本的な方針が間違っているのではないだろうかということだ。根本的な軌道修正が求められているのではないか。

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とにかく首都圏の感染拡大に歯止めがかからない。一日の新規感染者数が1000人を超えるようになった東京都では、確保したコロナ病床3500床のうち、85%の2995床が入院患者で埋まった(1月4日21時)。人工呼吸器やエクモ(体外複膜式人工肺)が必要な重症患者は108人でICU(集中治療室)の確保病床の49%を占める。

コロナ重症患者の治療には他の疾病の2倍以上の医師、看護師、臨床工学技士らの人手が必要なので、通常のICU治療にかかわるマンパワーのほぼ10割が投入されていると考えられる。

どの患者を優先的に治療するかという「生命の選別(トリアージ)」が医療現場にのしかかっており、精神的負担も多い。一刻も早く、感染者数を減らさなくてはいけない。だから緊急事態宣言の再発出が必要だということは理解できる。

しかしながら、コロナウイルスは低気温、低湿度の冬に活動性が高まることは知られていた。昨年6~8月に南米のペルー、ブラジル、チリ、オーストラリアなどで感染拡大し、医療関係者たちは日本の年末年始から厳冬期に大きな波がくると口々に予想していた。にもかかわらず、第一波、二波の「経験」は生かされず、感染は拡大する一方なのだ。