どこかノスタルジックなカラーのMVと共にBTSの『Dynamite』が大ヒットした2020年、K-POPでよく聴かれた流行ジャンルのひとつに「レトロサウンド」がある。J.Y. Parkとソンミの『When We Disco』やNCT Uの『90's LOVE』、TWICEの『I CAN'T STOP ME』、EVERGLOWの『LA DI DA』、GFRIENDの『MAGO』などなど、挙げればきりがないほど多くのアーティストがこの年、レトロなサウンドの楽曲をリリースしていた。

K-POPは欧米のトレンドサウンドを積極的に取り入れる印象があるため、2020年初頭にリリースされ大ヒットしたデュア・リパのアルバム『Future Nostalgia』などからの影響を指摘することも可能だが、韓国内ではこれらに先んじて、2018年頃から世界的なシティ・ポップブームを含む「ニュートロ(“ニュー“と“レトロ”を組み合わせた造語)というトレンドが存在しており、昨今のレトロブームもこの延長上にあるといえる。

K-POPの歴史を振り返ると「レトロ」は常に欠かせない要素としてさまざまなスタイルで存在してきた。ゼロ年代後期から定期的に起こってきたレトロブームから、2019年にビッグトレンドとなった「ニュートロ」に至るまでの、K-POPと「復古」の関係について振り返ってみたい。

初代レトロサウンドはWonder Girls

レトロサウンドをフィーチャーしたK-POPの中で初期の大ヒット曲といえば、JYPエンターテインメントのWonder Girls(以下、ワンガ)の『Tell Me』だろう。同曲は、当時登場したばかりのYouTubeでバイラルになり、「K-POP」という「海外からの韓国のポップスに対する呼称」が定着するきっかけをつくったともいわれている。「テルソノ」と呼ばれている初期の三大ヒット曲『Tell Me』『So Hot』『Nobody』が象徴するように、ワンガは60〜80年代のアメリカンポップスをベースにしたレトロコンセプトのグループだった。

後に様々なジャンルの曲も消化するようになったが、メンバーの大きな変動を経て、2015年に4人組としてカムバックした時のコンセプトも、ビジュアルを含めたアルバム全体が80年代シンセウェイブ風だった。

そして、Wonder Girls解散後にソロになったユビンは2018年に日本のシティポップジャンルである『淑女』でカムバックし、JYPを離れたソンミも、『Siren』(2018年)『pporappippam』(2020年)など80sの雰囲気漂う楽曲をリリースしている。

これには、JYPのドンである、J.Y. Parkの音楽的なバックグラウンドが強く影響していると思われる。