ひとりひとりのお金の力はささやかだったとしても、それが集まれば、より力強く社会を変えていくものになる。大勢の人の“意思”と“想い”がこもったお金が、世界を大きく、そして豊かに変え始めています。

そのひとつに、「コミュニティーマネー」があります。これは、特定の地域や目的を共有するコミュニティ内で利用できる通貨のこと。スマホ決済の普及に伴い、再び盛り上がりをみせています。

●教えてくれたのは……
保田隆明さん
ほうだ・たかあき/神戸大学大学院経営学研究科准教授。スタンフォード大学客員研究員。2019年に電子地域通貨に関する研究論文を発表。専門分野はコーポレートファイナンス、ベンチャービジネス、M&Aなど。複数社の社外取締役も務める。

「コミュニティマネー」とは
つまり、こういうことです

Q1.コミュニティマネーってなに?

A.一種のコミュニケーションツールです。

その歴史は古く、もともとはコミュニティ形成の目的で誕生したと考えられています。端的にいうと「地域の活性化を目的とし、限定したエリア内で流通したり、決済手段として利用されたりする通貨」のこと。例えば、地域清掃などのボランティアに参加したとします。掃除をしてもらった側は、活動に対して何かお礼がしたい。けれど現金を支払うのは生々しいし、そもそものボランティア精神に反する。値段はつけたくないけれど感謝の気持ちを伝えたい。そんなとき、その地域で使える商品券のようなものがあればいいよね。そんな発想から生まれたものです。

その種類は市町村から商店街に至るまで多種多様で、現在100ほど発行されているといわれています。決済、貯蓄などの機能を持つ通貨における、コミュニケーションツールとしての役割を担ってきたといえます。

Q2.コミュニティマネーを使うと、どんないいことがあるの?

A.地域の活性化に一役買います。

例えば、飛驒高山エリアで使える「さるぼぼコイン」。利用者はチャージ時に1%分のプレミアムポイントが加算され、加盟店で買い物をするとポイント還元などのサービスも。一方、加盟店は支払いに使われたコインを預金口座に換金して入金できるほか、他の加盟店への送金にも利用でき、地域内で経済が回る仕組みを確立しています。

他にも、香川県の地域ポイント「MEGURINマイル」は、ボランティアなど地域の活動に参加することでポイントが貯まります。またポイントを利用してサッカーなど地元スポーツチームの選手のサイン入りボールなどと交換できたりと、お金では買えないプレミアムな体験も用意され、地元チームを応援するツールとしても活用されています。

Q3.コミュニティマネーが進化してるってホント?

A.はい。最近はデジタル化された「電子地域通貨」がメインです。

じつは日本のコミュニティマネーは「多産多死」の歴史でもありました。これまで全国で800以上の地域通貨が生まれたと言われ、多くは実質的に消滅しています。その大きな理由は、「地域振興券」のように紙券がメインだった時代の印刷費や、管理業者の設立や維持費などのコストにありました。そんな状況を打破したのが、電子マネーとの連動です。全国に先駆け、2017年にスタートした「さるぼぼコイン」は、当時まだ珍しかったキャッシュレス決済をいち早く可能にした成功例といえます。

ここ数年間で再びコミュニティマネーが盛り上がってきた理由は、このような電子マネーの普及が大きく関わっています。電子地域通貨なら初期コストを下げることができますし、地域通貨の弱点でもあった流通性の課題を克服してくれました。

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