文/FRaU編集部

「アダルトコンテンツ=性行為」と思いがちな背景

ある中学生の親が、子どもの携帯を見て仰天したという。
中学生の男子が、同じ中学の女の子にこんなLINEを送っていたのだ。

「ねえ、あえいでる動画送ってよ」

その男女ともにごく普通の学生で、恋愛関係ではない友人関係だ。女の子が「はあ?なにバカなこと言ってるわけ?」とかわして終わっていたそうだが、もし恋愛関係にあったら、「私はあえがなければならない」と思うのだろうか。そしてそれを誰かに見せなければならないと思うのだろうか。10代が性に興味を持つことは普通のことだが、「あえぐ動画を送って」とお願いすることへのハードルの低さに、性教育の重要性を感じる話でもある。

性教育は5歳から必要と言われている。スキンシップをするのも相手の気持ちを考えながらすることが大切だ、そして「パンツの中はプライベートパーツで大切であり、自分が嫌だと思ったら他人に触れさせる必要は一切ない」ということから性教育は始まるという。好きな相手に触りたいと思う気持ちは当然、ただ相手の気持ちを尊重することが必要だし、自分も嫌なら断っていい。そういうことから始まるのが「性教育」だと。

しかし日本の性教育はそんなことは学ばない。むしろ性行為はタブーかのように生物学的な生殖機能を説明することがほとんど。しかし性教育はきちんとされないけれど、アダルトコンテンツへのアクセスは簡単なのだ。こうなると、セックス=アダルトコンテンツと思ってしまう人が増えても仕方ないだろう。

セックスは単なる性行為だけではなく、相手への思いやりがとても大切なのもののはずなのに、強調された性の環境やテクニックばかりが重要視されてしまうことになっていないか。

「つまらないセックス」とは

「おまえのセックス、ほんとつまらねえ」

恋人からそんな風に言われる衝撃の冒頭で始まるマンガが、ikoさんによる『カラダ、重ねて、重なって』(Palcy)だ。

(c)iko/講談社『カラダ、重ねて、重なって』

主人公の岡本みすずは、24歳のときにつき合っていた彼にそう言われ、直後に振られてから「私はきっと今後も男性とお付き合いすることがないだろう」と確信している。「当然セックスなんてしないだろう」――つき合うとついてくるであろう夜の呪いにかかっているのだ。そして、29歳にして「無表情で怖い人」と評判のチーフとなっていた。
しかし、みすずのように「今後も男性とお付き合いすることはないだろう」とまで思ってしまった背景には、まさに「アダルトコンテンツのセックスがセックス」と思ってしまう意識があるのではないだろうか。

Palcy」での連載開始を記念して、『カラダ、重ねて、重なって』無料試し読みをお届けする。

セックスはいかがわしいものではない。愛情を交わすとても大切なものだ。だからこそ、一方的に「面白くする」というものではなく、ふたりで思いを重ねて作っていくもの。『カラダ、重ねて、重なって』はそんなことを改めて考えさせてくれるのである。