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2021年、アフター・コロナのアジアを襲う「7つの混乱」を予測する

日本もその渦に巻き込まれることになる
めでたさも牛歩の如きコロナ春 
2021年の新年、明けましておめでとうございます。

現代ビジネスの連載第1号として、2010年に始めたこのコラムも、おかげさまで550回を超えました。12年目に入る今年は、今月20日に『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』(講談社現代新書)を出版します。今年もコロナ禍でますます不透明になっていく日本とアジアについて論じて参りますので、引き続きご愛読の程、よろしくお願いいたします。

一年の計は元旦にあり、と言うが、世の中は、とかく計画通りにいかないものだ。いまから一年前、新型コロナウイルスが2020年の世界を覆い尽くすなど、誰も想像していなかった。

そんな前提のもとで、少し大胆な「2021年 アジア7大予測」を立ててみた。

【1】バイデン新政権は中国を抑えられない

1月20日、アメリカでジョー・バイデン新大統領が誕生する。アメリカは紆余曲折を経て、78歳の史上最高齢の大統領を輩出した。

だが、これほど就任前から、アメリカ国内及び世界で期待感が沸き起こらない新大統領は珍しい。CNNを観ていると、プロの政治評論家が、「バイデン大統領の最大の功績は、トランプ再選を阻止したことだった」などと、真顔でのたもうている。まだ大統領に就任してもいないのに、すでに「最大の功績」を付与されてしまったのだから、何とも不名誉なことだ。

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実際、バイデン政権の4年間を想うと、ドナルド・トランプ政権の時のように、中国に強い態度が取れるとは思えない。

根本的な問題として、バイデン政権は、国内で左右に相容れない「厄介なグループ」を包摂しながら、舵取りをしていくことになる。

トランプ時代を懐かしむ共和党右派は、バイデン政権のミスを、手ぐすね引いて待ち構えている。5日のジョージア州での上院選で民主党が2議席とも取れなければ、上院は共和党が過半数を押さえるので(現在は共和党50議席対民主党48議席)、バイデン政権は発足段階から大きな制約を受けることになる。

一方、バーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員を支持していた民主党左派も、バイデン政権に対して要求したいことは山ほどある。実際、サンダース議員は、「バイデン候補に協力したのに、左派が一人もバイデンチームに入っていない」と不満を漏らし始めている。

GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表されるIT化と、2020年のコロナ禍によって、アメリカ社会はさらに一層、格差が進んだ。富者は株高によって富み、貧者は職を失ったりコロナに感染したりした。

そんな複雑化、突出化していく社会を、まとめていくのは容易なことではない。78歳のバイデン大統領は、まるでモグラ叩きの名人芸のような技術を要求されるわけで、まずは内政に忙殺されるだろう。

そんな中、最大のライバルとなる中国は、バイデン新大統領のことを「柳のような男」と評している。東に動くかと思えば西に揺れ、確固としていない政治家ということだ。

バイデン新政権は、外交の優先課題として、2015年にバラク・オバマ政権時に締結したイラン核合意の復帰を目論んでいる。だが、この4年で失ったイランとの信頼関係を取り戻すのは、容易なことではない。

イランでは、今年6月に大統領選挙が行われる。ハサン・ロウハニ大統領は、2期8年を務めあげて退任となるが、その後継者に、対米協調派のモハンマド・ザリフ外相や、アリー・ラリジャニ前国会議長が就くとは限らない。この4年でトランプ政権は、中東を完全に「イラン包囲網」に変えており、イランで軍や革命防衛隊の強硬派が新大統領に就く可能性もある。

ともあれ、バイデン政権がイラン核合意を本気で望むなら、締結国の一つである中国の協力が必要だ。かつ中東に集中することで、東アジアの対中強硬政策は緩むことになる。

 

他にも、優先課題としている地球温暖化防止やコロナ対策でも、やはり中国との協力が欠かせない。バイデン政権はコロナ対策の目玉として、全国民がマスクを付けて外出することを義務づけるとしているが、それを実現するには大量の中国製マスクが必要だ。

こうしたことから、2021年にトランプ政権並みの対中強硬策は望めないだろう。

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